

東京・日本橋に本社を置く国分は、酒類や食品、関連消費財の卸売業を中心に事業活動を行う老舗で、グループの年商は1兆4000億円を超える。
同社のビジネスを支えるシステムは、大きく3つの体系に分けられる。「業務・会計系システム」、「物流系システム」、そして「情報系システム」だ。今回、情報系システムの一つである、情報資産を有効活用して営業活動を支援する情報共有システムの「KOMPASS」が見直しの対象となった。
KOMPASSの主な機能は、他社製グループウエアを利用して1999年に構築された。
今回の導入プロジェクトで一貫してリーダーとして対応してきた国分の小関隆一氏は「掲示板の機能を使って、販促企画や連絡事項など営業活動を支援する情報の共有を目指したものでした」と説明するが、社内からは課題を指摘する声もあった。
具体的には、「構造的に検索機能が弱く、データ量が増えてくると瞬時に取り出せない」、「データの登録も専用端末からしか行えず、情報が自由に発信できない」などの指摘があった。
また、「社内に既存システムに関するスキルを持った技術者が不在で、変更ニーズに迅速に対応できない」という課題もあったという。
こうしたなか、使用していたグループウエアの保守サポートが切れ、情報共有システムの見直しが始まった。2009年2月のことである。
「検討を開始した当時は、アリエル・エンタープライズのことは知りませんでした。そこで以前から取引があったITベンダー5社に提案を求めました」と小関氏。「アリエル・エンタープライズ」を知ったのは、リニューアルに向けて情報を収集していた2009年5月に参加した、情報活用をテーマにしたセミナーでのことだった。「話を聞いていて、当社が抱える課題にぴったりの製品ではないかと考えました」(小関氏)。
そこで、改めてアリエル・ネットワークを加えた6社に対して提案依頼書を提示し、具体的な提案を求めることになった。要望点は主に3つ。検索がしやすいこと、自由に情報発信ができること、保守性が高いことだ。最後の保守の部分は内製化を視野に入れての要望である。
コンペの結果、候補は3社に絞り込まれ、最終的にKOMPASSのデータを渡して、ユーザーである営業推進部の立ち会いのもと、デモンストレーションを見ることになった。
「既存システムのデータ資産を移行することが前提ですから、実際にデータがどう変換されるのか、検索の使い勝手はどう変わるのかを確認したかったのです」と小関氏。
このデモでユーザーから高く評価されたのがアリエル・エンタープライズだった。
ユーザーの一人である国分営業推進部の谷田貝千江美氏は「ユーザーインタフェースが良く、大量のデータでも瞬時に簡単に検索できました。ピンポイントで情報を引き出して、分かりやすく提示してくれるところを評価しました」と語る。
アリエル・エンタープライズはユーザーからの圧倒的な支持を受け、採用されることになった。
導入が決定されたのは2009年8月だが、導入プロジェクトは年内導入を目指して、急ピッチで進められた。小関氏は、導入プロジェクトを通してアリエル社への信頼度が増したことを次のように語る。
「スタートした当初こそ、お互いのプロジェクトの進め方の違いからスムーズに進まないこともありましたが、方針を決定してからは猛スピードで進めてくれました。これまでまったく取引がない会社からの導入だっただけに、当初は不安もありました。しかし、今ではこの選択が正しかったと確信しています。若い会社ですが今はまったく不安はありません」。
2009年12月に導入されてから約半年が過ぎたが、国分では高く評価されている。
「情報共有のスピードがまったく変わりました。先日、海外で自然災害が発生した際にも、その影響についての情報をすぐに共有できるなど、危機対応のスピードが飛躍的に向上しました。競合他社との差別化にもつながっていると思います。また、瞬時にキーワードで検索できるので、蓄積された情報も活用されるようになりました」(谷田貝氏)。
これまでは専用端末がないために情報の発信ができなかったグループ内の企業にも、利用してもらえるようになった。
今後の展開について、小関氏は次のように語る。
「KOMPASS には、今回リプレースしなかった機能もあります。今後はそうした部分もアリエル・エンタープライズに統合し、ワークフローの分野にも活用するなど、適用範囲を広げていきたいですね。ユーザーからの要望を基に機能拡張を行ってもらえる" リクエスト・バージョンアップ" にも当社の要望が既にいくつか採用されているので、今後が楽しみです」。
アリエル・ネットワークのコンサルタントから技術サポートを受けることで、開発やメンテナンスの内製化への道も開け、4月には携帯電話などからの閲覧機能も実装した。
「卸売業では、小売店にどんな情報を提供できるかが重要な鍵になります。携帯電話などに対応して情報共有のスピードがさらに速まれば、ビジネス自体も変化していくはずです」と小関氏は期待する。ビジネスを左右する情報共有と活用のための、新たなプラットフォームを構築した同社の今後が楽しみだ。
※この記事は日経BP社の許可により「日経コンピュータ」2010年6月9日号から抜粋したものです。禁無断転載(C)日経BP社
