課題解決

スマートデバイス活用 ~急速に広がる企業内利用、導入のポイント~

2011年には世界出荷台数がパソコンを超えると報じられるなど、爆発的に普及しているスマートフォン、タブレット型端末などの最新鋭モバイルデバイス。ビジュアル面での訴求力、GPS、カメラ、通信、アプリケーションの開発・配布のしやすさ、機動の早さなど、その利点は数多く、企業における利用も着実に増加しています。

 

利用目的の明確化

本稿では、これらスマートデバイスの企業内活用における課題とポイントを述べます。

「デバイスありき」ではない、明確な利用目的に基づいた導入が基本

まず、導入に当たっては「利用目的の明確化」が必須です。移動中に資料を閲覧するなどの一般的な利用方法に加え、最近では、金融機関が商品の説明や各種金融情報提供の支援ツールとして利用するケースや、製造業大手が工場の作業ナビゲーションシステムとして利用するケース、製薬業界において医薬情報提供ツールとしてMR向けに導入するケース、店舗におけるクレジットカード端末として利用するケースなど、スマートデバイスの利用用途は広がっています。その活用によって効果を上げている企業の共通項は、利用目的を明確化していることです。「デバイスありき」で導入するのではなく、何を実現したいのか、「目的ありき」で検討を開始することが重要です。目的を明確にしないまま導入した場合、メールやスケジュールの確認などの限定的な利用にとどまり、結局、従来の携帯電話と変わらない効果しか上がらないケースが多くなっています。

セキュリティ対策は、デバイス側の設定だけでは不十分

次に考慮すべきは、セキュリティ対策です。スマートデバイスは従来の携帯電話と比べて高機能化しているため、それだけリスクも高く、厳重なセキュリティ対策が必要です。
iPhoneやiPad、Androidなど各種デバイスのセキュリティ機能は以前と比較すると向上しており、遠隔ロックや遠隔消去などの仕組みも整いつつあります。また、2011年5月には通信・IT大手40社がスマートフォン(高機能携帯電話)の安全対策で連携し、「日本スマートフォンセキュリティフォーラム」を設立するなど、業界全体もスマートフォンのセキュリティ強化を推進しています。しかし、モデルごとにセキュリティ機能には差があり、デバイス側の設定のみで、企業が安心してビジネスに利用できるレベルのセキュリティを確保することは難しいのが現状です。
企業は、利用する社内アプリケーション側で自社に最適なアクセス権限を設定することや、VPNなどのセキュアな通信手段を利用して、スマートデバイスから社内ネットワークまでの安全な通信経路を構築するなど、対策を講じる必要があります。しかし、セキュリティを強化するあまり、使い勝手が悪くなり利用が促進されないケースもあるため、自社の利用目的に適ったセキュリティ対策を検討し、それを実現可能な社内アプリケーションを選択・利用することが重要です。

常に最新OSを利用するため、社内アプリケーションの対応も考慮すべき

iOSをはじめとするスマートフォンをベースとしたOSは比較的新しく、頻繁なバージョンアップが行われます。前述のセキュリティ対策やパフォーマンス向上の観点から考えると、OSは最新バージョンを利用することが望ましいですが、バージョンアップ時、社内アプリケーションの互換性に問題が生じる場合があるため注意が必要です。利用する社内アプリケーションを選択する際には、バージョンアップ時に互換性を維持するか否かを事前に確認しておくべきです。また、社員の私用デバイスの業務利用を推進する場合は、利用モデルが複数種類に及ぶため、各モデルに社内アプリケーションが対応しているかどうかも確認しておきたいポイントとなります。

モバイルデバイスのOSのバージョンアップ時、社内アプリとの互換性を維持できるか?

スマートデバイスが抱えるリスクの多くは、明確な目的を持って利用ポリシーを定め、適切な利用環境を構築することで回避することができます。その点に留意し、活用することで、ワークスタイル変革、コミュニケーション促進など、大きなメリットを享受することが可能となります。今後も、その可能性はますます広がっていくことでしょう。