課題解決

在宅勤務・拠点分散・モバイルワーク…企業のワークスタイル変革

クラウド・コンピューティングや仮想化などICTの進化によって、オフィスに縛られない新しいワークスタイルを容易に実現することが可能になりました。それに伴い、在宅勤務や拠点分散、外出先でのモバイルワークなど、さまざまな「働き方」をサポートする体制を整備する企業が増加しています。しかし、制度が軌道に乗り、ES(従業員満足度)の向上や業務の効率化を実現する企業がある反面、せっかく導入した制度が利用されず、思うような成果を上げられない例も多くなっています。

「BCPを目的とした在宅勤務制度導入」は危険

昨今、特に多いのが、パンデミックや大規模自然災害の発生に備えた業務継続性の確保という面から、オフィス外の勤務環境整備に着手するケースです。大手外資系リサーチ会社の調査においても、「ユーザー企業が現在のBCPを再検討することは不可避であり、自宅待機を想定したホーム・オフィスによる業務遂行のシナリオなどを積極的に策定する必要が高まる」と述べられています。しかし、目的をBCPに絞ってしまうと、制度が軌道に乗らないケースが多くなっています。平時に利用しない制度は、いざという時に機能しないことが多いからです。同リサーチ会社が東日本大震災における事業継続管理を検証するために行った調査によると、「震災時の手順や対応策を記したマニュアルは機能しなかった」という指摘が多くあったといいます。いかに詳細なマニュアルを整備しても、日常業務で利用していない制度を緊急時に運用することが困難であるということが、ここからも見てとれます。このような失敗を防ぐためには、目的をBCPのみに絞らず、長期的視点でワークスタイル変革を推進していくことが重要です。

BCP対策

ルール策定やシステム導入がゴールではない

利用者のコミュニケーション希薄化に対する不安や、マネージャー層の進捗管理の負担など、運用する中で初めて見えてくる課題は多いです。これをキャッチアップするためには、日常業務の中で無理なく利用できる環境づくりが重要です。そのため、システムについても日常業務で利用するものと切り離さない工夫が必要です。
更に、浮かび上がった課題に対する最適解は業務内容や企業文化など、各社の状況によって異なるため、試行錯誤を重ねながらルールを改正し、自社に最適な仕組みを構築していくことが、多様化するワークスタイルを上手く活用し、企業利益につなげるためには必要不可欠です。システムについても「導入して終わり」ではなく、運用の中で見つかった改善点を随時反映していくことが求められます。スマートフォン・タブレット型端末への対応や、Web会議システムなど、機能面の充実にばかり目が行きがちですが、まずは継続的なシステム改善が可能なフレキシビリティを備えているのかどうかを重視して、システムを選定することが重要です。

PDCA