「Amebaなう」は、Twitterと直接対決するのではなく、「Amebaリアル」としてサービス展開すれば面白いかも
先日書いたツイッター本セミナーに参加した際に、一つ印象に残った話があります。
それは会場からの日本でTwitter類似サービスが増えることによる影響について質問された際のいしたにさんの「ツイッターはユーザが育てた。そうしたユーザが簡単に他に移るとは考えにくい」という回答。
(詳細についてはこちらの記事をご覧下さい)
また、もう一つ話題が関連してて印象的だったのは、先日の私のツイッターとブログの比較記事に対して書かれた小飼弾さんの「#twitter と #blog の一番(大きく|見落とされる)違い」というブログ記事での「blogは引っ越せるが、TL = Timeline は引っ越せないのだ」という発言。
これらの意見には、個人的にも深く同意です。
Twitterはよくマイクロブログと表現されますが、正確にはブログのような記事のポスト機能だけでなく、RSSリーダー的なタイムライン機能を内包していて、この二つの組み合わせこそが、強力なネットワーク外部性を生んでいます。
Twitterにおいては、個人のつぶやき一覧の画面を見ることがほとんどない、という事実こそが、その象徴と言えると思います。
ちなみに、このポスト機能とタイムライン機能の組み合わせというのは、実はmixi日記も同じです。
SNSの黎明期、日記SNSとしてライバルだったはずのGREEや、キヌガサ、Yahoo Days等が、mixiと比較するとたいした数のユーザーを確保することができなかったのは、やはりこのネットワーク外部性により、コミュニケーションの場という存在をmixiに取られてしまったのが最大のポイントということができるでしょう。
だから、ブログのように事業者が乱立するのではなく、「SNS」というサービス総称よりも「mixi」という個別のサービス名称の方が有名という結果になるわけです。
自分が発言を書き込む画面に、相手の発言も出てくるからこそ、相手の発言を読む機会が増え、相手の発言を読む機会が増えるからこそ、お互いのコミュニケーションが活性化する。この組み合わせは、ネット上のコミュニケーションツールにおいて、かなり重要なポイントのように感じています。
Twitterは、まさにこのポスト機能とタイムライン機能がシンプルに結合した見本のようなサービス。
そう言う意味では、先日「「Amebaなう」はTwitterにとって、かなりの強敵になり得るんではなかろうか」という記事で言及した「Amebaなう」についても、いくら芸能人ネットワークを持っているとはいえ、既存のTwitterユーザーを奪うことが難しいのは、間違いないと言えるでしょう。
ただ、個人的に気になるのは、実はアメブロ自体が、このポスト機能とタイムライン機能をすでに内包しているという点。
実は外部から見ていると分りづらいですが、Amebaにログインすると、トップページに「チェックリスト」という項目で自分が講読しているブログの更新情報を教えてくれる機能があります。
つまりmixiのマイミク最新日記欄。
これは、昨年何人かの大学生に聞いたときに何となく感じた話ですが、一部の学生は明らかに、Amebaのログイン画面を芸能人ブログをチェックするためのリーダーとして使っているそうで。
暇なときに見に行くサイトの一つとして個別の芸能人ブログではなく、Amebaのトップページが選択されているようです。
アメブロでブログを書いている芸能人の最新情報を知りたければ、アメブロにID登録してトップページでチェックするのが楽なわけで、そこに人が集まっているからこそ、芸能人好きの読者に自分のブログを読んでもらいたい芸能人がアメブロにますます集中するわけで。
これまた、ここにもネットワーク外部性が明らかに働いているわけです。
個人的に、アメブロはもはや一般的な「ブログ」サービスではなく、MySpaceのようなオープンなSNSだと考えている理由がここにあります。
つまり、Amebaはやり方によっては、Twitterコミュニティとは異なるマイクロブログコミュニティを形成するポテンシャルは十分あると思うわけです。
特に既存のAmebaトップページに、Amebaなうの機能をFacebookのように組み込んでしまうと言うやり方は、シンプルに機能するように思います。
そう言う意味で、個人的に「Amebaなう」が、日本でTwitterと正面から対抗できる規模のサービスになりうる可能性として重要になるのではないかと思うのが、いわゆる「リアル」の利用者層の取り込み。
上記の図にも書きましたが、実は日本では「リアル」と呼ばれるマイクロブログが女子高生の間で普及しているらしく。
・『mixi』って何? 女子高生は『リアル』でSNSするのが常識 ? ロケットニュース24(β)
・女子高生がなかなかリアルからTwitterに移行しない理由
ようやく先日モバイル版をリリースしたものの、日本のケータイ対応が出遅れたTwitterはこのターゲット層で、リアルに大きく差を広げられているように見えます。
実際のユーザー層を考えれば、まぁ当然の結果と言えるでしょう。
ただ、このリアルの分野は、聞くところによるとCROOZリアルという事業者が強いものの、それほど明らかにカテゴリーキラーと言えるプレイヤーはまだ存在しない模様。
後発にも関わらず、ブログ事業者のトップを獲得することができたAmebaであれば、利用者の属性も結構重なりそうな印象もありますし、リアル事業者のトップを獲得するのは、かなり確率の高いことのように思えます。
ちなみに、メディアパブの先日の記事に出ていたデータでは、なんとグローバルのTwitterユーザーの66%が25歳以下の若年層だったりするそうなので。
*Twitterユーザーの年齢(ソース:Sysomos)
やはり、Twitterのような新しいコミュニケーションで重要なのは、こうした若い層を確保することのように思います。
もし「Amebaなう」が「Amebaリアル」的なサービスとしてリリースされて、多数の芸能人をてこに、この女子高生層を巻き取ってしまうことができたら、これからTwitterのユーザーになるはずの若い世代を抑えられてしまうわけです。
そもそも「Amebaなう」の「なう」って、もはやTwitterコミュニティにおける方言みたいなものだと思うのですが。
そうやって、あえてサービス名称に方言を入れてTwitterコミュニティに媚びを売ってみたところで、現在の友人とのコミュニケーションを中心にしたTwitterコミュニティに満足している層はわざわざ移転してきたりしないでしょうから。
芸能人の発言もまとめて読める「Amebaリアル」として、既存のTwitterコミュニティから縁遠い若年層を根こそぎ持って行く方に注力するのが、Amebaとしては確実な策のように思えたりします。
まぁ、湯川さんがこちらの記事に書かれているように「いずれツイッターやAmebaなうの「池」の中の魚も「海」に泳ぎ出ようとするだろうし、それを引き止める力はどんな大手ネット企業にもない。」と考えることもできますから、利用者としては何が流行ってくれても楽しくなれば一向に構わないわけですが。
この半年~1年のマイクロブログ界隈の動向は、将来の日本のマイクロブログ系サービスの展開を見る上で、かなり重要な期間になりそうです。
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