3月にIBMさんで開催されたSmarter Planetをテーマにしたブロガーズミーティングにご紹介頂きました。
実際のイベント開催から大きく日があいてしまったのですが、先月参加してきたTEDx Tokyoや、最近のSmarter Planetに関する特集記事とかを見ていて、ようやく考えがまとまってきたので、メモしておきたいと思います。
Smarter Planet(スマート化する地球)というのは、IBMが新たに設定したコーポレートビジョン。
単純に訳すなら賢くなる地球という所でしょうか。
IBMのコーポレートビジョンと言えば、これまでにも"e-business"や "on demand"など、時代を代表するキーワードを設定してきたことで非常に有名。
今回のSmarter Planetもブロガーズミーティングまで開催するぐらいですから、気合いが入っていることは間違いありません。
ただ、これがなかなか難解なのです。
まず、ウェブサイトにあるSmarter Planetの解説は以下の通り
「あらゆるものにトランジスタ、RFIDタグ、センサーなどが組み込まれて機能化される現在、それらを相互に接続することで、全てのモノやプロセス、働き方がインテリジェント化しています。
これは、さらなる効率化と対応力の強化につながり、ビジネス、社会、ひいては地球に進化をもたらす大きな可能性を秘めています。
大きな可能性を秘めた新たな動きで実現される世界、これがSmarter Planetです。
私たちは金融危機、気候変動など、大きな困難に直面しています。「スマート」になることで、新しい可能性を切り拓きませんか?」
シンプルに読むと、様々なものがインターネットに繋がることで、新しい可能性が拡がるよねという、インターネット黎明期から言われていたことの繰り返しのようにも読めてしまいます。
ただ、先日のTEDx Tokyoで見た社会企業的なプレゼンのいくつかであったり、IBMの丸山さんのエントリーで「21世紀社会における、競争から協調への価値観の変化を敏感に捉えていると思う」というフレーズを読んだりして、やっぱりSmarter Planetというビジョンはそういうことではないというのが、何となく分かってきた気がします。
「スマート化する地球」と日本語で書くと、技術の進歩とかいろいろなものが発展したすれば、結果的に地球がスマート化する「だろう」という未来予想風に感じてしまうわけですが。
今回の「Smarter Planet」というキーワードは、IBMが世界に向けて一緒によりスマートな地球を創ろう、と呼びかけているという自ら作り出すという意思の表れと捉えるべきでしょう。
もちろん、IBMもあくまで営利企業ですから、社会起業家的に理念だけが先に立ってこういう発言をするわけではないと思いますが、実際に技術の進歩により私たちはより複雑な問題を柔軟に解決できる能力は身につけているはずなのに、様々な無駄や問題がなかなか解決できていないという現実があります。
でも、そろそろネットやIT技術は、個人や企業とか小さなレベルの効率化や、改善を強化できるだけでなく、本当はそういった地球規模の根本的な課題に立ち向かうことができるようになっているのではないか?そういう意気込みが含まれているキーワードなのではないかというような気がしてくるわけです。
ライフハックに見られるように、ITやネットは個人の仕事や生活を効率的にしたり、楽にしてくれたりしてくれますし、当然、同じようなことは企業に対しても言えます。
Smarter Planetというコンセプトは、言うなればカントリーハックとか、プラネットハックとか、そういう規模で、ITやネットを活用して社会の構造を変えていくというというイメージで考えると少し身近になるのかもしれません。
日本語でスマートというと、どうしても賢いという側面だけでなく、やせてるとか、かっこいい的な文脈もあるので、なかなかIBMがもともと意図していたキーワードとして伝わるかどうか難しい印象もありますが。
ITがいよいよそこまで大きなことを捉えるべき時代に来たという意味で、1つチャレンジとしては興味深いキーワードのように思えてきました。
ちなみに、当日の詳細はIBM広報の栗原さんの記事に掲載されていますので、こちらをご覧下さい。
・地球をもっとスマートに:栗坊のマロン通信:ITmedia オルタナティブ・ブログ
なお、当日のプレゼンの一部をYouTubeにアップしてみましたので、興味のある方はどうぞ。