テレビとPCの融合と、ネットにつながったテレビの可能性は違うということ

 『近未来テレビ会議』で「みんなのテレビ」について考えたを読んで。

 先日、近未来テレビ会議に参加してきました(といっても、正確にはとんでもないトラブルを起こしてしまったため、イベント直前に品川→東京を往復する羽目になり、前半の話はほとんど聞けなかったのですが)ので、遅ればせながら感想をメモしておきたいと思います。


 今回テーマとして取り上げられていたのは、ソニーのBRAVIAで提供されているテレビのウィジェット機能「アプリキャスト」。

bravia.png

 いわゆるGoogle Desktopとか、Yahoo!ウィジェットみたいなことが、テレビで実現できてしまうと言う機能です。


 テレビを使ったインターネットというと、一時期話題になったテレビとPCの融合の話をついつい思い出してしまう人は多いと思います。
 人はテレビを見るときは後ろに向けて30度たおれ、パソコンを見るときは30度前かがみになるから、テレビとパソコンは目的が違うという出井さんの「30度の法則」が有名ですが、自分自身も確かにテレビとPCの用途は大きく違うため、どちらかというとテレビを見ながらPCを使うとか、併用することがほとんど。 

 インターネットテレビとかテレビパソコンとか、流行ったような流行らなかったようなというのが正直な印象ですし。
 テレビ業界とPC業界の両者の主導権争いという意味では大いに話題になりましたが、結局、テレビとPCは違う端末なのかなーというのが個人的な感想でした。
 正直、最近はテレビのインターネット機能からは興味を失っていたというのが正直なところです。

 
 ただ、今回のイベントや、先日開催された「ネットと家電のキャズムを超えろ!会議 Vol.2」に参加して改めて感じたのは、なにもテレビとPCを同じ端末として融合させなくても、テレビならではのインターネットへのつなぎ方というのはいろいろあるんだなーということ。

 30度の法則の言うとおり、テレビを見ている最中に前のめりになってテレビの画面で検索をバシバシするというのは、あまりないかもしれませんが。
 今回のアプリキャストのようにテレビの脇を、別のエリアとして使ってみた場合、その脇のエリアも、後ろに30度倒れている状態で役に立つネットのコンテンツを表示するということは可能なはず。

 必ずしも、インターネット=「PCの普段使いのように前のめりで利用するもの」、ではないわけですから、スポーツ中継の際の関連情報表示とか、気になる情報の検索とか、実はテレビならではのネットコンテンツの使い方というのは結構あるのかもしれないという気がしてきます。

 
 そういう意味でもアプリキャストのアプローチが興味深いのは、そのアプリケーション開発自体を一般の開発者にもオープンにしていこうとしているところ。

aplicast.png

 アプリ開発をオープンにすることで、多様な開発者のアイデアのプラットフォームとして機能し、様々な利用者のニーズを満たすというアプローチの可能性は、まさにSNSの分野でFacebookが、MySpaceを猛追するために実証してきたアプローチ。

 そのアプローチに、クローズドなプラットフォームという印象が非常に強かったテレビメーカーが挑戦しようとしているというのは、非常に興味深いところです。

 はたしてアプリキャストは、テレビウィジェットにおけるプラットフォームを形作り、開発者を呼び寄せることができるのか。
 もちろん、テレビの場合はウェブサービスと異なり実際の利用者の数が増えるのに相当な時間がかかるというハンデもありますから、そう簡単にはいかないと思いますが。

 意外なヒットアプリが生まれたり、ウェブサービスにおけるOpenSocialのようにメーカーでの横のつながりを早期に生み出していくことができたりすれば・・・といろいろと可能性は感じるところです。

 個人的にも、テレビこそは日本企業が反撃できるフィールドではないかと強く思っていたりするので、今後の展開に注目したいと思います。




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