Yahoo CUにみる、日本におけるビジネスSNSの可能性
先週からベータテストが開始されたYahooのビジネス向けSNS「CU」に招待してもらいましたので、遅ればせながら感想を書いておきたいと思います。
実際のサービスのレビュー自体は、いろんな方がしっかり書かれていますので、そちらをご覧いただければと思いますが。
率直なサービスの印象を書くとするなら「未完成」のSNSというのが正直な印象です。
OpenPNEをベースにしているらしいことから来る、いわゆる普通のSNSっぽさとか、ユーザービリティの普通さとかはまぁ別に良いとして、プロフィール登録後に友人をある程度追加すると特にやることが無くなってしまうとか、ビジネスSNSと言うわりにはそれらしい機能がプロフィール登録ぐらいしかなかったりとか、LinkedInを参考にしたというわりには想像以上にシンプルな作りでした。
そう言う意味では、いろんな人が比較的CUを批判的に評価しているのは分からないでもないのです。
凄く厳しく言ってしまうと、CUは招待制だから中が見えないために、ちょっとした招待祭りがおこりましたが、このまま放置しておけば、まぁこれまでの数々リリース直後にちょっとだけ脚光を浴びては消えていった、数々のSNSと同じ道を辿ってしまう可能性は高いでしょう。
ただ、個人的に今回のCUのちょっとした盛り上がりで感じたのは、日本の中でのそういう新しいSNSへの期待。
先日も「米国のSNSランキングトップ10にみるSNSの今後の可能性」という記事で、米国においてコミュニティ別に複数のSNSが盛り上がっているというのを紹介しましたが、現状日本においてはモバゲーとmixi以外のコミュニティは比較的空いているはずで。
現状はたしかにmixiでビジネス系のやり取りをしている人もいるわけですが、そのニーズに的確にアプローチすることができれば、mixiとは別のコミュニティをカバーするSNSになることもできるのではないかと感じています。
そう言う意味で、ちょっと気になるのはCUがLinkedInのような転職プラットフォームを目指すべきかどうかという点。
湯川さんなんかも書いていますが、日本では米国に比べると圧倒的に転職市場が小さい気がしますし、何も転職SNSを目指す必要は無い気がします。
一言で「ビジネスSNS」と言っても必ずしもLinkedInのように履歴書とか転職をベースにしたものにする必要は無いわけで、日本なりの「ビジネスSNS」というのを模索した方が、より本当のビジネスSNSとしての成功がありうる気がしています。
そう考えると意外に良いアプローチなような気がするのが、メーリングリスト的なコミュニティ機能。
クローズドなビジネス上のやり取りをmixiでやっている人は意外に多いですから、その人達をまずはターゲットに取り込んでいくというのは、一つの選択肢としては結構良さそうです。
あと、個人的には、もしCUのプロフィールページがある程度ビジネス上の信頼を担保できるようなものになるのであれば、それをベースにしてアポロン.jpが目指しているようなClaigslist的なリソース探し、仕事探しのプラットフォームとか、クラウドソーシング的なビジネスのつながりをもてる場所にする、とかは案外ありかもなーと思えてきます。
まぁ、これは私がクラウドソーシング好きなので、すぐその妄想に流れてしまうだけかもしれませんが。
なんにしても、私自身は、CUのあまりのシンプルさに、自分がブログやSNSに触れたばかりの頃のGREEを思い出してしまって、懐かしさのあまり思わず友人登録をしまくってしまったのですが。
どちらかというと、こういう新しいサービスにおける友人申請って、FacebookのPoke機能に近い感覚で、久しぶりの人に「元気してますか?」ぐらいの感覚ですよね。
大抵一通り友人追加が終わったら、すぐにサービスを忘れてしまうのが普通だと思いますので、Yahooさんの開発チームの方々が、現在の盛り上がりを無駄にしないように、今後利用者の反応を見ながら機敏に(かつ慎重に)機能追加をされていくのに注目したいと思います。
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