ベンチャーがキャズムを超えるために重要なのは、コミュニケーションの誘発かも
Ustream配信担当として参加しているInfinity Ventures Summit 2008 Spring(以下IVS)の初日が終了しましたが、印象的だった話を紹介しておきたいと思います。
私が参加したのは「オンライン動画コミュニティビジネスの展望」、「キャズムを超える」と「次世代Webベンチャー企業の展望」というセッション。
プレゼンをしていたのは、Crunchyroll、ニコニコ動画、オイシックス、初音ミク、ライフネット生命保険、meebo、Seesmicという企業の人達です。
それぞれ全く異なるサービスを提供している企業なので、話のポイントは当然大きく異なるのですが。
個人的に印象に残ったのが、サービスにおけるコミュニケーションを誘発する仕組み。
まず、meeboやSeesmicに至っては、そもそもがコミュニケーションのサービスですが、単純にサービスないで利用してもらうだけでなく、meeboはチャット自体をMySpaceやFacebook等他のサイトに貼り付けられる仕組みを提供して利用を加速させたようですし、Seesmicはブログのコメント欄に動画でコメントをできるプラグインを提供したりという活動をしている模様。
こういったアプローチは、ニコニコ動画やCrunchyrollのようなオンライン動画コミュニティにおいても同様のようで、ニコニコ動画では、動画をネタにした非同期コミュニケーション自体がサービスのコアになっている上に、広告自体を時報にしてあえてウザイ広告にしてみたり、アフィリエイトの購入数もネタにしてもらってみたり、Crunchyrollにおいてもサービス運営者自体をSinjiという仮想キャラクターにして、彼に利用者とコミュニケーションを取らせたり、オタク部屋写真コンテスト的なものを実施していたりと、利用者のコミュニケーションを誘発する仕組みが満載でした。
まぁ、mixiやfacebookのようなSNSにしても、TwitterやFriendFeedのような新興のサービスにしても、注目されるウェブサービスがコミュニケーションのプラットフォームになっていることは当然と言えば当然かもしれません。
ただ、その後に参加したセッションで興味深かったのが、オイシックス、初音ミク、ライフネット生命保険といった違う分野のサービスにおいても、サービスに関するコミュニケーションを誘発する仕組みの話がそこここに出てきたこと。
たとえばオイシックスにおいては、あえて特徴のある食材を普段と違う料理法で料理することを進めて、食卓における家族のコミュニケーションを刺激しようとしてみたり。
初音ミクにおいては、利用者が作った作品をネタに違う作品を、リミックスでどんどん作っていくというコミュニケーションが展開されていたり。
ライフネット生命保険では、今まで他の人と話をする機会が少なかった生命保険についてのコミュニケーションを活性化させるために、他の人がどういう生命保険に入っているのかというデータを、年齢や性別はもちろん、一件生命保険と関係なさそうな血液型別など多様な視点で比較することができる機能を提供していたり、金融機関には珍しく社長ブログや社員ブログを展開していたり。
個々のサービス自体が良くできているというのは、それはそれでもちろん最低限のレベルで必要なんだと思いますが。
やはり、各分野で1つぬきんでてくるサービスというのは、サービス自体の完成度だけでなく、そのサービスに関するコミュニケーションがより拡がるような工夫というのがいろいろと仕込まれているように思います。
いろんなサービスをレビューしていると、このサービス良くできてるのに、何で誰にも知られていないんだろうと思うようなサービスに出会うことがよくありますが。
その違いは、こういったコミュニケーションを誘発する要素があるかどうかが、かなり影響しているような気がしてきました。
自分のサービスが意外に拡がらないので悩んでいるという人は、まずは自分のサービスにそういったコミュニケーションを誘発する要素があるかどうかを、一度見直してみると良いかもしれません。
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関連タグ:Meebo , Seesmic ,
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