Link Knowledge (日本の名刺交換文化に最適な名刺管理サービス)
Link Knowledgeは、株式会社三三が提供している名刺管理サービスです。
サービスのレビューは本当に久しぶりなのですが、先日のTech Venture 2009でも、審査員特別賞と準グランプリのダブル受賞を果たされていたので、遅ればせながらレビューしてみました。
Link Knowledgeを一言で説明するとすると、名刺管理を軸にした営業支援ツールと表現した方が良いでしょうか。
いわゆる名刺管理ソフトというと、基本的に名刺のデータをPC内部に保存するアドレス帳的なものが多いですが、このLink KnowledgeはSalesforceのようないわゆるSaaSとかクラウドと表現されるウェブサービスです。
名刺のデータは全て株式会社三三のウェブサーバーに保存され、ブラウザ経由でデータを利用する形になります。
正直な話、名刺管理サービスというと、名刺という画像データをあつかうわけですから、ブラウザ経由というと何となく重そうだったり使い勝手が悪そうな印象もあったのですが。
Link Knowledgeのサービスは、本当に恐ろしく良くできています。
画像を主としたサービスとはいえ、たいして重さは感じませんし、検索もいわゆるクライアントで動作する名刺管理ソフトに比べるとはるかに高速で快適です。
さらにユーザーインターフェースもかなりよく考えて作られています。
例えば、基本的な名刺のデータは下記のように表示されるのですが。
名刺の文字が読みにくいなと思って名刺の画像を選択すると、下記のように拡大表示されますし。
住所情報からGoogle MapとかNaviTimeに連携したり、名刺情報をそのまま携帯に転送したりなんていう機能も当然のように実装されています。
まぁ、このあたりは基本的な操作のところなのですが、さらにLink Knowledgeの印象的なのは名刺に関連する情報活用についてのこだわり具合。
ウェブサービスであることを最大限活かして、名刺のデータを実際の企業データと紐づけているため、名刺だけでは分からない企業の関連データと様々に連携して、表示をしてくれます。
例えば、月単位で名刺交換を行った枚数であったり、名刺交換をしている人の地域の分布みたいなのをグラフ表示できるのはもちろん、下記のような名刺交換をしている企業の規模だとか業種の分布をグラフ化してくれたり。
名刺交換した企業の最新情報だったり人事異動だったりを表示してくれたりするわけです。
さらには名刺CRMという機能を使うと、各名刺単位で誰と同席して打合せをしたのかというコンタクト管理も実現できますし、Salesforceと顧客データを連係させることも可能。
携帯電話でも当然の用に利用できる上に、最近は名刺データを元に、メールの一斉配信にも対応するようになった模様。
基本的な機能から、細かい機能まで、非常に充実したサービスと言えるでしょう。
また、更に興味深いのがビジネスモデル。
一般的にこの手のウェブサービスというのは、グループウェアと定義される分野だと、月額数百円とか下手したら無料から存在していて、過当競争が進んでいるのですが。
Link Knowledgeは、名刺を読み込むスキャナと専用のソフトウェア、さらには名刺の入力自体もセンターのオペレーターが自動で実施するという至れりつくせりのサービス形態です。
その充実したサービスを元にCNETの記事に書かれているような月額3万5千円~というSalesforceなみの価格体系を実現し、ウェブサービスとしては比較的高めの料金体系にも関わらず、既に国内で約160社の企業が実際にサービスを使っているとのこと。
2007年6月に設立されたまだ設立から2年もたっていないベンチャーの事業展開としては、非常に好調な展開と言って良いと思います。
米国においては、37Signalsのプロジェクト管理サービスBasecampや、企業向けWikiのSocialtext、ブラウザから使えるグループウェアのZimbraなど、企業向けの有料サービスが結構上手くいっている印象があるのに対し、日本では有料サービスは難しいのかなと勝手に思い込んでいましたが。
このLink Knowledgeの成功を見ていると、日本でもまだまだこういった企業向けの有料ウェブサービスの可能性というのはありそうな気がしてきます。
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