Web2.0系ツールの買収競争はそろそろ終わりに近づいているのかも。
PluckというRSSリーダーが、エンドユーザー向けサービスから撤退したそうです。
・My RSS 管理人ブログ : RSSリーダー Pluck 終了 - RSSリーダー市場も終了?
Pluckという名前は、日本ではほとんどなじみが無いのですが、なんでもIEやFirefoxのようなブラウザに組み込んで動作するブラウザで、比較的評判も良かったようです。
評判が良いけれども、撤退せざるを得ないというところにこの市場の難しさが垣間見えます。
Read/Write Webでも、「エンド向けRSSリーダーの市場はもはや無い。RSSリーダーの独自展開で勝負なんてもはや無理」とばっさり書かれているそうで、赤松さんもRSSリーダーのようなツールはネットワーク的な広がりを見せるサービスでもないし、スイッチングコストが安いので囲い込みが難しく、ネットの大御所が次々に参入してくるような状況では仕方が無い判断だと書かれています。
そういえば、以前もGoogle Calendarのサービス開始後に、オンラインカレンダーのkikoが運用継続を断念してサービスをeBayのオークションに出したというニュースがありましたが、MicrosoftやGoogle、Yahooなどの大手企業が無料ツールの開発に力を入れるにつれ、自然と独立系の淘汰・撤退が進むという流れが本格化してきているような気がします。
まぁ、1年前に「Web2.0企業の成功とは、Web1.0企業に買収されること?」という似たような記事を書いているので、その頃より傾向が明確になっただけと見ることもできますが、1年前に比べると最近はさらに細かいツールのレベルに買収が移ってきている印象があります。
Googleに買収されたWritelyやJotspot、Yahooに買収されたdel.icio.usやFlickrのような成功事例も、もちろんあるわけですが、SNSやブログのように利用者がお互いにお互いの画面を閲覧するソーシャルメディアに比べると、RSSリーダーやカレンダーサービス、オンラインToDOリストのようなツールの場合には、ツールの利用者以外がお互いの画面を見る機会は少ないですし、広告も貼り付けづらかったりという壁がある模様。
GoogleやYahooのように自社のサービスを利用してもらうことによって、広告収入なりのメインの収入が増えるから、RSSリーダーやSBMのようなツールはそのための「利用者獲得の手段」と割り切れる企業と、そのツール自体で何とか収益をあげなければいけない企業では、もとから土俵が違うわけで。
今後、大手企業に買収されるチャンスを逃したWeb2.0系ツールは、企業向けなりの細かいニーズに対応できるように地道に展開して有料サービス等の別の収益機会を探るか、個人レベルのサービスとして地道に運営をしていくか、撤退かの三択を迫られることになりそうです。
(昨日、発表になったGoogleのJotspot買収というニュースに対し、競合企業のSocialtextは早速対抗心を燃やしているようです。)
もちろん、今後もネット大手企業に買収されるような新しいサービスは生み出されてくるとは思いますが、とりあえず現段階で思いつくようなWeb2.0系ツールのラインアップについては、Google、Yahoo、Microsoftともにある程度買収するなり自社で開発するなり方針が固まってきている感じですので、買収競争もそろそろ終わりに近づいている気がします。
そう考えると、似たような買収が日本ではほとんど見かけないのが気になるところですが。
まぁ、日本では今はベンチャーのエグジットは株式公開が花盛りですし、そもそもツールを買収してくれる候補があまり思いつかないのが現状ですから、日本で大手企業に売却するのをゴールにツールを開発しようというベンチャーがあまり生まれてこないのも、ある意味当然といえば当然なのかもしれません。
アリエル・ネットワークでは、インターネット時代にふさわしい新しい情報共有ツールの研究・開発をしています。
「こういった製品が欲しい!」「こういった機能が必要ではないか?」 |