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2006年1月31日

Planzo (オンラインカレンダー)

planzo.gif Planzoも、先日レビューしたTrumbaと同じような時期にスタートしたオンラインカレンダーです。以前ソーシャルネットワーキング.jpで紹介されて気になっていたのでレビューして見ました。

 他の人の作成したイベントでつながるソーシャル的な要素もあるようなので、Trumbaのようなオンラインカレンダーと、以前レビューしたZventsのようなソーシャルカレンダーの間のサービスと言った方が良いかもしれません。
 実際、サービスロゴでは「The Online Planning Community」とコミュニティ性が強調されています。

 サービス自体は、これも他のWeb2.0系サービスと2名という少数で開発されているサービスのようなので、見た目はそれほどぱっとした印象はありません。
 日本で知名度が高くないのも分かる気がします。

 ただ、AJAXを使っているとおぼしき、操作性はこれまでにレビューしたものの中では一番使いやすい気がしました。
 週表示の画面でドラッグすると、予定の時間が指定された状態で作成できますし、作成した予定も簡単にドラッグで移動できます。
 何と言っても軽いので、反応が早いのが良いですね。

 あらためてウェブサービスと言うのは、操作性が重要だと言うのを感じました。
 
 ちなみに、何でもブッシュ大統領とクリントン大統領もPlanzoを使っているそうです(笑)。


planzo2.gif【Planzoの機能】

・スケジュール管理機能
 タイトル・時間・詳細・カテゴリなどの情報を登録することができる。
 日数指定で、繰り返しの予定が作成できる
 予定をドラッグで時間指定作成することができる
 作成した予定をドラッグで動かすことができる
 カテゴリ毎に予定の色が変えられる。

・カレンダー機能
 日、週、月、年単位で予定を表示することができる。
 表示時間やデフォルトカレンダーを変更できる

・共有機能
 特定のメンバーにだけ公開する設定をすることができる。
 グループを作成して予定を共有することができる
 カレンダーをネット上で公開することができる。
 作成したイベントを軸に他の利用者とつながることができる。

・リマインド機能
 予定ごとに時間を指定してメールでリマインドができる。

・その他
 ノートブック機能で添付ファイルつきのメモを作成することができる
 ToDo機能でタスクの一覧を作成することができる
 自分の予定やコメント等の通知を定期的にメールでまとめて通知してもらえる。
 カレンダーの色を変更することができる
 カレンダーに簡易な掲示板機能がある 
 最新情報をRSSで取得することができる
 ブログやIMに予定やカレンダーを貼り付けることができる


【Planzoの概要】
運営:Rising Concepts, LLC. (二人)
開始:2005年?
収益源:無料

2006年1月30日

IBMの提唱するアクティビティセントリック・コンピューティング

 ITmediaオルタナティブブログで、みずほ総研の吉川さんがこんな記事を書かれていました。

Lotusphere2006で発表されたアクティビティセントリック・コンピューティングという概念  (ITmedia オルタナティブ・ブログ)

 個人的に、特に注目したのは、下記の部分

最近の企業内情報共有では、ポータルなどを使って社員個人の欲しい情報をまとめて1画面に表示をするというのが主流なコンセプトである。ただこのとき情報をどう見せるべきかというと、それは情報の発信者側が押し付けるのではなく、見ている本人にあわせて表示してあげたほうがよいはずである。その時に各個人は情報をどのように関連付けるのだろうか?日本では時々朝から晩までスケジューラを立ち上げてそれベースで仕事を進める人がいることを考えると。自分の起こすべき行動(あるいは起こした行動)がまず第一にくることが便利そうである。すなわち自分の果たすべき役割や行動がまず中心にあって、関連情報はそれに紐つけられているにするのはかなり自然な情報整理の方法だと思う。

 情報に追われる一人のビジネスマンとしても、情報共有アプリケーションを開発する人間としても、この点は非常に賛同できます。
 アリエルでも同じようなことを、エージェント的に動作するものとして表現しようとしていましたが、やはり情報共有の仕組みの目指す方向はこっちということでしょうか。
 (弊社にLotus出身者が多いというのも影響しているかもしれませんが)
 「次のバージョ3からは、はアクティビティエクスプローラーなるものの提供を始める」とのことなので、引き続き注目ですね。

 それにしても「アクティビティセントリック・コンピューティング」と名称がつくと、具体性が増す感じがしますね。
 うちも、ちゃんとこういったコンセプトを打ち出していきたいものです。  

2006年1月27日

Trumba (オンラインカレンダー)

trumba.gif Trumbaは、 Visioの創業者が始めたことで話題になったオンラインカレンダーです。
(ZDNetにも、2005年5月ごろのTrumbaの評判についての記事が掲載されています。)

 以前Web2.0系のサービスとしてレビューしたCalenderHubkikoと比べると、話題性は低いのかもしれませんが、なんでも昨年12月に8百万ドルの資金調達をしたようですし、CNETのWhen2.0カンファレンスのレポートにも事例としてでてきたので、あらためてレビューして見ました。

 サービス自体の印象は、堅実なオンラインカレンダーという印象です。
 サービスが有料ということもあり、CalenderHubやkikoのようにタグとかAJAXでバリバリというような派手な機能は少ないですが、しっかりと作ってある印象を受けます。


trumba3.gif 特に参考にしたいのは、利用者以外のメンバーとは基本的にメールでやり取りが出来るようになっている点。

 一般的なオンラインカレンダーは、予定を共有するためにはお互いに同じサービスを利用する必要がありますが、Trumbaの場合は一人が共有用のカレンダーを作成し、そこから共有したい相手に日や週単位で定期的にメールで予定を送ることができます。

 さらに、それをメールで受け取った人はその予定をクリックして、自分のスケジュール管理ソフトやカレンダーに予定を取り込むことが可能。
 データ形式もYahoo!カレンダーやOutlook、iCal形式など多様なのが印象的です。

 こういったサービスを問わないで予定共有ができる姿勢は、是非マルチスケジューラにも参考にしていきたいところです。


trumba1.gif【Trumbaの機能】

・スケジュール管理機能
 タイトル・時間・詳細・タグ・URL・場所などの情報を登録することができる。
 日、週、月、年で、繰り返しの予定が作成できる
 予定をBusy.Freeなどと定義できる(日表示で若干ずれて表示される)

・カレンダー機能
 日、3日、週、5週、月、年、リスト単位で予定を表示することができる。
 複数の予定表を作成することができる

・共有機能
 予定をメールで該当のメンバーに送ることができる
 他のメンバーが作成した予定をメール経由で登録できる。
 カレンダーをネット上で公開することができる。

・リマインド機能
 予定ごとに時間を指定してメールでリマインドができる。

・その他
 自分の予定を定期的にメールでまとめて通知してもらえる。
 他のメンバーにも特定のカレンダーの予定を定期的にメールで通知することができる。
 csvやiCalで、データをインポート・エクスポートできる
 専用ソフトでOutlookとデータを同期させることができる
 印刷用の形式で表示できる


【Trumbaの概要】
運営:Trumba Corporation
開始:2005.04ベータ公開
収益源:有料(39.95$/年、60日間無料試用有)

「AJAX」人気、開発ツールキットのメーカーの競争を促進

 CNETにこんな記事が掲載されてました。

「AJAX」人気、開発ツールキットのメーカーの競争を促進 - CNET Japan

アナリストや業界幹部らによると、AJAXに対する関心が高まっている理由の1つは、ウェブユーザーがよりインタラクティブなルック&フィールを切望しているためだという。

 AJAXという言葉自体は生み出されてからまだ1年ぐらいだったと思いますが、GmailやWeb2.0系のウェブサービスがインパクトがあったこともあり、この1年であっという間にすっかり流行り言葉になりましたね。
 
 アリエルでも、ソフトウェアのUI動作にかなりAJAXを活用し始めていますが。
 上の記事にあるように、あくまで利用者がインタラクティブな操作性を求めているからAJAXが流行るわけで、何でもかんでもAJAXでやれば良いという話では無いという点は、しっかり認識していきたいです。

2006年1月26日

Web2.0やWikiとグループウェアの関係を考える

 ITメディア・オルタナティブブログで、@ITの新野さんがこんな記事を書かれていました。

 Web2.0とコラボレーションとグループウェア - Randomwalk [ITmedia オルタナティブ・ブログ]

特にコラボレーションに関する部分。ブログやWikiやサーチエンジンなどの知識の蓄積と検索の分野は、これらが進化して既存のグループウェアの存在の一部を置き換えるか、もしくはグループウェア側が先にこれらの機能や手軽さを取り込むか、といった“食うか食われるか”式の比較的分かりやすい現象がみられるのではないかなあと思っています(もちろん、共存する部分だってあるでしょう)。

 この視点は、非常に納得できます。
 現在のWeb2.0的なサービスというのは、まだまだ完成度から言うと、既存の業務アプリケーションと比較にならない部分が多いとは思うのですが、37signalsのBasecampBackpackに見られるように既存の情報共有システムの一部を担い始めている感じは印象としてあります。
 (だからこそ、自分もこんなブログを開設しましたし、サイボウズの安田さんなんかも積極的にリサーチをしているんだと思いますが)
 

 一つの注目点は、Wiki的な共同編集関連の動向になってきそうな印象があります。

 新野さんも引用されているように栗原さんが「Wikiってすごい(今さらですが)」という記事を書いていますが、最近のWikiはどんどん技術的な進歩を遂げているようです。
 
 このブログでも企業向けWikiのSocialtextJotspotのレビューなんかをしてみましたが、この辺のサービスが今後どういう進化を遂げていくかは一つ注目のポイントだと思います。


 ただ、サイボウズの安田さんが「wiki による「共同編集」の難しさ」という記事などで書かれているように、まだまだ一般の人にとって共同編集の概念が理解しづらいのも事実。

 ブログと同様、コンセプトや仕組みを理解する人が増えれば、自然と企業内にも入ってくるものなのかどうか。
 なんとなく今のWiki周りの動向を見ていると、もう一つ何かブレイクするためのポイントがありそうなんですが・・・

2006年1月24日

ロータス、Mac版「Notes」の強化を計画--Macのシェア拡大を受けて

 CNETにこんな記事が出ていました。

ロータス、Mac版「Notes」の強化を計画--Macのシェア拡大を受けて - CNET Japan

「Macコミュニティの成長が鮮明になりつつある。企業への導入率が5~10%であっても、影響力は非常に大きく、組織内の他部署とのコミュニケーションが必須になっている」(Bisconti)

 ウェブサービスと比較した際の、クライアントソフトの一番のハンデはマルチプラットフォームだといえるでしょう。ウェブサービスならブラウザ経由なのでOSはそれほど気にする必要はありませんが、クライアントソフトはプラットフォーム別に開発・テスト・メンテが必要になります。
 ただ、それを超えてでもMac版の強化をする必要が出てきているというのは注目の流れですね。

 何を隠そう、エアワン・シリーズも、いちどMac版のベータ版を公開したことがあるのですが、その後社内のノウハウ不足やMacOSのバージョンアップなどの影響により、きちんと対応できていないままです。
 誰か、一緒にMac版の開発を手伝ってくれる人はいませんかね・・・ 

1人シリコンバレー創業プロジェクトで選ばれた「コネクティ」

 CNETにこんな記事が掲載されてました。

ワークスなど、「1人シリコンバレー創業プロジェクト」で投資先を選出 - CNET Japan

 アリエルも、ワークスグループの一員ですので、「1人シリコンバレー創業プロジェクト」には注目していたのですが、ついに投資先が選ばれたようです。

 選ばれたのは、「Web2.0テクノロジーを駆使した新世代業務システムの開発・販売を主事業とするコネクティ」
 これだけだと何だか良くわかりませんが、サイトを見るとどうやらSNSの要素をSFAやCRMに組み込んだ「コネクションマネジメントシステム」です。

 個人的にもSNSの仕組みは企業でも役に立つと感じており、ビジョンには共感できます。
 今後の動向が注目ですね。

2006年1月23日

Microsoftが目指す「ソフトウェア+サービス」

 CNETにマイクロソフトのビジネス事業部門プレジデントのJeff Raikesのインタビュー記事が掲載されてました。

J・レイクス:「Office Liveベータ版は予定通りに」 - CNET Japan

 興味深かったのは下記の部分。

 コンピュータの性能と使い勝手は飛躍的に向上しており、人々はこのパワーを利用したいと考えています。ユーザーの心を捉えるためには、このパワーをローカルとオンラインの両方で利用する方法を提案しなければなりません。われわれが「ソフトウェア+サービス」という表現を使っているのはそのためです。重要なのは、両者を同時に利用することであり、それこそ、われわれがOffice Liveで実現しようとしているものなのです。競合企業はどちらかというと、「ソフトウェア対サービス」という図式を志向しています。
   ソフトウェアを持っているマイクロソフトだから当然の発言とはいえるのですが。  「ソフトウェア+サービス」という視点は、個人的に興味深いです。

 最近はウェブサービスのメリットに脚光があたっているので、「ソフトウェア対サービス」という図式で何でもかんでもウェブサービスにする感じがありますが、利用者の視点から考えるとソフトウェアかサービスかということよりも、ニーズに応じてメリットの高い方を選択できるのがベストのように思います。

 過去の経験から、ネットワーク化されていないソフトウェアの価値が急速に低下しているのは明らかですが、逆に最近のWeb2.0系のサービスのトラブルを見ていると、ネット上のサービスに完全に依存することのリスクは感じます。
 今後は、両方のメリットを組み合わせたサービスが増えてくるんじゃないでしょうか。
 当然、今度のOutlookなんかはそういったものの先駆けになってくるのでしょう。

 アリエルもクライアントソフトを開発できる点を一つの特徴と考えているので、そういった特徴を活かした「ソフトウェア+サービス」を提供していきたいと改めて思います。

AppExchangeはソフトウェア・マーケットプレイスに?

 先日のセールスフォースのAppExchangeリリースを受けて、ZDNetの「エンタープライズニュースの読み方」で飯田さんがこんな記事が掲載されてました。

ZDNet Japan Blog - エンタープライズニュースの読み方:あなたの名前で売れますか? - AppExchangeの正式リリース

 ソフトウェア企業の動向を、イギリスの流通業界と比較して分かりやすく解説されており、興味深いです。

そうした中、イギリス流通業界を参考にすると、ソフトウェア企業の生き残り策は2つある。一つは、強力なブランドを作り上げ、販売チャネルに対する交渉力を維持すること。ケロッグのないシリアルの売り場は、シリアル売り場ではないというくらいに。あるいは、ノンブランドとして、オンデマンド・プラットフォームへ効率的に製品を供給する裏方に徹するかだ。それはそれで立派なビジネスにはなる。

 業務系アプリケーションの場合は、データの連携などを考えると一概に流通業界のようにマーケットプレイスが単純にアプリを単体売りできないのが難しいところですが、セールスフォース自体のシェアが広がれば、過去のロータス・ノーツのようにセールスフォースと連携して動くアプリをメインビジネスにする事業者が増えてくる可能性は十分ありますね。
 そうなると、AppExchangeでのデータ連携の仕組みが業界標準となって、ソフトウェア業界のスーパーマーケットになれるという可能性は十分ありそうにも思えます。
 
 この手のアプローチが取れるのは、他にIBMとMicrosoftぐらいでしょうか・・・

2006年1月19日

JotSpot (企業向けwiki)

jotspot.gif JotSpotも、先日紹介したSocialtextと同様wikiを活用したサービスです。

 wikiについては、CNETの「wiki--集団による編集が変える報道のあり方」という記事に今後のサービスの可能性等が、詳細に書かれていますが、ここでSocialtextとJotspotは企業向けサービスの代表としてかかれてたので、レビューして見ました。

 なんでもjotspotの創業者は、「元エキサイト創業者」だそうで2004年10月の設立発表時から結構注目を浴びています。

 特にインパクトが大きかったのがWISWIGのwikiという点でしょう。
 今となってはSocialtextやWritelyなど、WISWIGで共同編集できるサービスは珍しくなくなってしまいましたが、当時はかなりインパクトがあった記憶があります。


jotspot2.gif サービスを使ってみた印象だと、機能的にはSocialtextと近い感じで、それほど改めて特筆すべきところは無いんですが、驚いたのが充実したアプリケーションギャラリー。
 Jotspot用に作成されたアプリケーションをインストールして利用することができるんですが、軽く数十個はあります。 
 要はwikiとデータベースの組み合わせなので比較的手軽に開発できるということのようです。

 すでに数百社の顧客がいるとサイトにはかいてありますが、それらの顧客が開発したものも公開しているということでしょうか。
 アプリを、利用者が手軽に開発できるというのは参考にしたいところです。

CNETに創業者のJoe Krausのインタビューが掲載されています


【Jotspotの主な機能】

・ページ作成機能
 wikiを使ってページを作成することができる。
 ページをメールで出力したり、メールでページを作成したりすることができる。
 ページの変種履歴を記録しており、変更履歴を比較したり元に戻したりすることができる。
 ページに時系列のコメントをつけることができる。
 インデックスページが自動的に作成される

・リッチテキスト機能
 Wikiwygのリッチテキスト機能を使うことができる

・ファイル添付機能
 ページ毎にファイルを添付することができる
 添付されたファイルを一覧で見ることができる

・アプリケーション機能
 Jotspot用に作成された多数のアプリケーションを利用することができる
 アプリの例(ブログ、イベントカレンダー、ToDoリスト、電話記録、プロジェクト管理等)

・共有機能
 ページをインターネット上に公開することができる
 ページを特定のメンバーと共有することができる
 作成・編集・削除について細かい管理権限を設定することができる

・その他
 画面の色設定を自由に変更することができる
 ワードやエクセルのファイルをインポートすることができる
 ページをXMLでエクスポートすることができる
 更新履歴をメールやRSSで受け取ることができる
 SSLで暗号通信をすることができる(有料版のみ)


【Jotspotの概要】
運営:Jotspot, Inc(Palo Alto, California)
開始:2004年10月
収益源:有料版(ユーザー数、ページ数等に応じて月9$~250$)

セールスフォース、「AppExchange」サービスを正式開始

CNETにこんな記事が掲載されていました。

セールスフォース、「AppExchange」サービスを正式開始 - CNET Japan

今回一般利用が可能になったこのソフトウェア・マーケットプレースは、Salesforceの顧客やパートナー各社が、同社のASPプラットフォームを介してアプリケーションを配布・共有できるようにするものだ。

 記事の中には「マッシュアップ」というWeb2.0のキーワードが出てきますが、企業向けのサービスに置いても、こういったAPI公開や連携の流れが加速しそうですね。

 既にSalesforceとGoogle Mapを組み合わせたものや、Skypeとの連携製品などが公開されているそうで、「プログラムをダウンロードした顧客の数はすでに1800社を超えており、さらに8万社が現在このテストを進めている」そうですからすごいです。

 日本ではいまいちSalesforceはそれほど普及しているという話を聞かないので、どれだけ日本市場にインパクトがあるのか分かりませんが、CEOのMarc Benioffさんの「ブログの作成や公開と同じくらい簡単に、アプリケーションを開発できるようにすべきだ」という発言には共感します。

2006年1月18日

Socialtext (企業向けWiki) 

socialtext.gif Socialtextは複数のユーザーが共同で情報を編集できるwikiの機能を、企業向けにパッケージ化したサービスです。

 こういったサービスを何と呼べば良いかは人によって議論があるところですが、CMSやグループウェアのような使い方をすることができ、先日紹介した37signalsのBackpackと重なるサービスかもしれません。
 Socialtext自身はエンタープライズソーシャルソフトウェアという言い方をしているようです。

 昨年の10月にはSAPを含め複数のVCから400万ドルの資金を調達して話題になりましたし、CEOであるRoss Mayfield氏は、昨年のWeb2.0カンファレンスでもスピーカーとして登場しており、カンファレンスに参加したグロービスの小林さんが注目のサービスと書いていたのも気になっていたので、あらためて試してみました。
(ちなみにRoss Mayfield氏は次回のNILSにスピーカーとして参加する予定のようです)


 Socialtextでは、wikiを活用することで複数のメンバーでページを作成・編集することができます。そのページをそのまま特定のメンバーと共有したり、インターネットで公開することができるので、グループウェアやCMSとして使うことができるわけです。
socialtext2.gif 具体的な利用事例としてはWeb2.0カンファレンスの公式wikiなんかが分かりやすいでしょう。

 特に、wikiならではの、共同で同じ文書を編集するという機能は参考になります。
 編集履歴がきっちり残っている上、編集された文書の比較や元に戻す機能、文書を合体させる機能、メールで文書を追加する機能など、編集関連の機能は実に充実です。
 エアワンでも、こういった機能は追加していきたいものです。


 それにしても、米国ではページ単位からボトムアップで共有すべきコンテンツを作っていけるというのが流行なんでしょうか。
 37signalsのBackpackもそうでしたし、オンラインワードプロセッサのWritelyも将来は同じ方向に進みそうな感じです。

 自由度が高い分、なんにでも使えるのですが、逆にどのサービスを何に使うのが最適なのかという視点では、比較が難しいですね。
 そういわれればロータス・ノーツも、コンセプトとしては似たようなものを感じますから、米国ではこういう自由度が高いサービスが好まれるということなのかもしれません。


【Socialtextの主な機能】

・ページ作成機能
 wikiを使ってページを作成することができる。
 ページにタグをつけて、タグでページ一覧を管理することができる。
 ページをメールで出力したり、メールでページを作成したりすることができる。
 ページの変種履歴を記録しており、変更履歴を比較したり元に戻したりすることができる。
 ページに時系列のコメントをつけることができる。

・ブログ作成機能
 複数のメンバーにより運営されるブログを簡単に作成することができる。
 更新情報をメールやRSSで配信することができる
 
・リンク・リスト機能
 ページ間のバックリンクが自動的に表示される
 最近見たページのリストが作成される

・リッチテキスト機能
 Wikiwyg editorと呼ばれるリッチテキスト機能を使うことができる

・ファイル添付機能
 ページ毎にファイルを添付することができる
 添付されたファイルを一覧で見ることができる

・共有機能
 複数のワークスペースを作成でき、ワークスペース単位で共有設定をすることができる
 ページをインターネット上に公開することができる
 ページを特定のメールアドレスのメンバーと共有することができる

・その他
 自分のロゴを追加することができる
 画面の色設定を自由に変更することができる
 更新履歴をメールやRSSで受け取ることができる


【Socialtextの概要】
運営:Socialtext,inc(Palo Alto, California)
開始:2002年?
収益源:有料版(ユーザー数等に応じてユーザー一人当たり月10$前後)
    30日間の無料試用有

マイクロソフト、Lotus Dominoに照準--Exchangeへの移行ツール提供へ

 CNETにこんな記事が掲載されました。

マイクロソフト、Lotus Dominoに照準--Exchangeへの移行ツール提供へ - CNET Japan

 ニュース自体は、記事にもあるようにまだちゃんとした移行ツールが無かったんだ、というのが正直な印象なんですが、注目したのは下記の部分。 

電子メールに関しては、ほとんどの企業がすでに電子メールサーバソフトウェアを保有するため、IBMとMicrosoftは互いの顧客を奪い合う必要に迫られている、とGartnerのCainは指摘する。  「もはや未開拓の顧客はほとんどない。市場シェアを拡大するには競合他社から奪い取るしかない」(Cain)
 

 いわゆる「グループウェア」という製品については、中規模以上の企業はほとんど導入しており、競合他社からの顧客の奪い合いになっているというのは、米国も日本も同じですね。
 米国はExchangeとLotus Dominoの2強状態。日本はこれにサイボウズが加わるイメージでしょうか。

 最近は、BasecampやSocialtextのようなWeb2.0系の情報共有サービスにも脚光があたってはきてますが、企業を単位とした情報共有を実現するグループウェア自体は、まだまだ今後もIBM・Microsoft・サイボウズを中心に動いていくことになるでしょうね。

 エアワンではこれらの企業と上手くデータを連携させてもらって、個人やプロジェクト単位の情報共有ニーズによりフォーカスしていきたいと思ってます。
 

Web2.0的 組織論

 ITmedia オルタナティブ・ブログで「走れプロジェクトマネージャー」の大木さんが、こんな記事を書いてました。

Web2.0 的 組織論 - 「走れ!プロジェクトマネージャー!」

そろそろ組織体制を作る際にも、そういったツールの活用で今までになかった組織体制が出来ても不思議ではないな、と思い始めたのです。  どういうことかと申し上げますと、もっと立体的な組織体制があっても良いのではないか、ということです。3Dでしか描けないような組織図ですね。
 

 3Dでしか描けないような組織図というのは興味深い表現ですね。
 ここ最近、レビューしていたBasecampやSocialtextのようなサービスは確かにプロジェクトやワークスペース単位で複雑な情報共有を実現できますし、Web2.0系のサービスは大体タグを使って複雑な属性管理が可能です。
 この辺りは、エアワンでもルームという単位を使って表現しようと苦労してきた部分ではあるのですが。

 組織論自体が大木さんが書いているような新しいものに変わってくると、これまでの階層的な組織構造にあったツールと、新しい組織構造にあったツールというものの違いが、はっきり見えてくることになるのかもしれません。

2006年1月17日

Backpack (インフォメーションマネージャー)

backpack.gif Backpackも、以前レビューしたBasecampTada Listと同様、37signalsが提供しているサービスです。
 
 Basecampが、チームでのプロジェクトコミュニケーションをターゲットにしているのに対し、Backpackがターゲットとしているのは基本的には個人や小規模グループでの情報管理や共有のようです。
 Pageという単位で、Tada Listのような簡易ToDoリスト一覧や、メモやファイル・写真などのリンク集が作成でき、手軽にインターネット経由の情報共有を実現することができます。
 

 サイト上ではBackpackはBasecampの弟だと表現されていますが、このサービスを何と呼ぶべきかは議論があるところでしょうね。タイトルにはPersonal and small business information managerと書かれていますが、使い方によってPIMともグループウェアともCMSとも言えそうです。

backpack2.gif その利用例には議事録から、提携業務のフォーマット、ウェブサイト用のページ作成など様々な事例が紹介されており、こちらもBasecamp同様、利用者数は無料版を含めるとすでに10万人を超えているようです。

 ブログでウェブサイトを作るのは楽になりましたが、まだまだチェックリストや複数の画像が並んだページやファイル添付などは素人には敷居が高いですから、こういったサービスがあると確かに便利です。

 個人的に「自分が仕事で使うなら」という視点から興味深かったのは、リマインダーを手軽に設定できる機能。
 件名とプルダウンから時期を選ぶだけで、リマインダーがセットされます。
 もちろん時間指定や定期的なリマインダーにすることも可能。
 この機能はマルチスケジューラにも是非入れたいところです。


【Basecampの主な機能】

・ページ作成機能
 ページ単位でToDoリスト、メモ、ファイル、画像、文書、リンクなどを貼り付けることができる。
 ページをメールで出力したり、メールでページを作成したりすることができる。

・チェックリスト機能
 タスク名のみの1階層のチェックリストをページ毎に掲載することができる

・メモ機能
 タイトルと本文で構成されたメモをページに掲載することができる

・リッチテキストファイル作成機能
 Writeboardを使ってリッチテキストファイルが作成し、掲載することができる
 (独自のフォーマットを使用、それほど使い勝手は良くない気がする)

・ファイル添付機能
 ファイルに概要等の情報を加えてページに掲載することができる(有料版のみ)

・画像添付機能
 画像に概要等の情報を加えてページに掲載することができる(有料版のみ)

・共有機能
 ページをインターネット上に公開することができる
 ページを特定のメールアドレスのメンバーと共有することができる

・リマインダー機能
 件名と時期を設定してリマインダーをメールや携帯電話に送付することができる
 日、週、月、年など定期的なリマインダーを設定することができる
 リマインダーの時期をicalでスケジュールソフトに出力することができる

・その他
 画面の色設定を自由に変更することができる
 無料版は公開したページに広告が掲載される
 SSLで通信を暗号化することができる(有料版のみ)


【Basecampの概要】
運営:37signals,LLC (Chicago)
開始:2005.05?
開発環境:Ruby on Rails
収益源:無料版の広告及び有料版(容量やページ数に応じて無料版から月5$~月19$)

企業向けWindows デスクトップ サーチとツールバーが登場、無償で利用可能

 ZDNet Japanにこんな記事が掲載されていました。

企業向けWindows デスクトップ サーチとツールバーが登場、無償で利用可能 - ZDNet Japan

 デスクトップサーチと言えば、一般的にはGoogleのGDSが有名ですが、マイクロソフトも実は半年以上前にWindowsデスクトップサーチをリリースしています。
 コンシューマー向けの存在感はイマイチなんですが、今回の「企業向け」のリリースは、さすがマイクロソフトという感じですね。

 Googleがデスクトップサーチをリリースしたときには、その便利さが注目された反面、インデックスのセキュリティ問題や、PCの情報がGoogleに流出するリスクなんかに脚光があたったため、システム管理者でGDSを嫌っている人は多いようです。
 そういう意味では、「企業向け」と製品名に入れてIT管理者にアピールするのはマイクロソフトならではのアプローチですね。
 これならエアワンとも連携がしやすそうです。

 はたしてGoogleも同じアプローチを取るのかどうするのか、注目です。

2006年1月16日

Openomy (オンラインファイルシステム)

openomy.gif Openomyは、「The Best Web 2.0 Software of 2005」のオンファインファイルストレージ部門で1位になっていたサービスです。
 解説だけでは、何が普通のストレージと違うのか良く分からなかったのでレビューしてみました。

 なんでも、このOpenomyも大学生が一人で開発してしまったサービスらしく、ユーザーインターフェースはシンプルですが、最初からAPIを公開するなど、なかなかどうして示唆に富んでいます。

 特に参考になったのは、タグの概念をアクセスコントロールに使っている点。
 言ってしまえばカテゴリのアクセス制御と同じ話なのですが、一つのファイルに複数のタグを適用することができ、そのタグ単位で他のメンバーとファイル共有することができるわけです。

 例えば、ブログの文書にjobとfamilyというタグをつければ、そのファイルは両方のグループからアクセスされ、jobというタグのみであればfamilyのグループとは共有できません。
 ただ、ファイル自体はあくまで一つなので、複数のグループに公開した後に修正しても、同時に更新される仕組み。
 これまでのWindowsのカテゴリの概念だと、個別のカテゴリにファイルをコピーしてしまったら、その時点で同じファイルが複数の場所に存在することになってしまうのとは、考え方が反対です。

 アリエルでは「ルーム」単位で、複数のグループと情報共有をするのを実現していますが、このOpenomyのタグのアプローチは何かに使えそうな気がしてきました。

※ちなみにCOLLECTION & COPYにOpenomyクリエイターのIan Seffermanのインタビューの翻訳が掲載されています


openomy2.gif【Openomyの主な機能】
・オンラインストレージ機能
 ファイルをオンライン上に保管することができる(上限1GB?)

・ファイル分類機能
 タグ単位でファイルを分類することができる

・ファイル共有機能
 タグ単位で指定したメンバーとファイルを共有することができる
 掲載日、ファイルの修正日を表示することができる

・その他
 APIを公開し、ファイルの保管や利用をするアプリを開発できる


【Openomy概要】
運営:iseff.com, LLC (Chicago)
  (Ian Sefferman 1984.4.13生まれ)
開始:2005.7.7?
開発環境:C#
開始人員:1人
収益:特に無し(一部有料化や広告掲載を予定)

Ray Ozzie:「インターネットサービスの破壊力」

 話題になったのはちょっと前ですが、MicrosoftのRay Ozzieの社内メモがZDnetに公開されています。

 R・オジー:「インターネットサービスの破壊力」 (ZDnet)

 このRay Ozzieというのは、もともとグループウェアのLotus Notesを開発し、その後P2PグループウェアのGrooveを創業した人です。
 実はアリエル・ネットワークもLotus Notes出身者が設立し、P2Pをベースとしたグループウェアの開発からスタートしたので同じような遺伝子の会社です。(私はNTT出身なので毛色が違いますが)
 そういう意味で、会社としても個人的にもRay Ozzieには注目し続けています。

 7ページにもわたる長いメモですが、今後のマイクロソフト・インターネットの方向性について示唆に富んでおり、大変興味深いメモです。
 関連するマイクロソフト製品が2006年から出始めてきますから、やはりビジネス関連の製品やサービスが受ける影響というのも大きくなりそうで、目が離せません。

2006年1月13日

グーグル、検索アプライアンス「Google Mini」2機種を新しく発

 CNETにこんな記事が出ていました。

グーグル、検索アプライアンス「Google Mini」2機種を新しく発表 - CNET Japan
 
 Google Miniというのは中小企業向けの、企業内検索ソフトといえば分かりやすいでしょうか。
 「社内限定のブログが上手くいかないのは、社内にはGoogleが無いからだ。」なんてことを言っていた人がいましたが、こういった企業内向けの検索エンジンに使い勝手のいいものが増えてくると、企業内の情報共有の仕組みも変わってくる気がします。

 ただGoogle Mini自体はあまり使われているという噂を聞かないので、まだこれからということでしょうか。
 通常のGoogleの無料アプローチと異なり、過去のバージョンより倍以上の値段設定で再リリースしている点も試行錯誤しているのが感じられます。

 使っている方がおられたら、是非(こっそり)使い勝手を教えてください。

2006年1月12日

Writely (ウェブワードプロセッサ)

writely.gif Writelyは、ウェブ上でMicrosoft Wordのような文書作成ができてしまうサービスです。
 これまでにレビューしたサービスとは趣が異なりますが、百式で紹介されてから気になっていたのもあり、サイトに今後プロジェクトやウェブサイトを管理する新しい方法になると宣言されていたのも気になったので、レビューして見ます。

 ちなみに、例の「The Best Web 2.0 Software of 2005」のワードプロセッサ部門でトップに選ばれていますし、昨年12月のCNETの記事によるとユーザー数は既に数万人を超えているそうで、100万人の利用者にも対応できる状態になっているとか。


 ※このサービスは、Googleに買収され現在は、Google Docs & Spreadsheetsという名称でサービス提供されています。

 BasecampにもWrite Boardという類似のコンセプトのサービスがありましたし、Central Desktopでもリッチテキスト機能がついていましたが、Writelyはワードプロセッサにフォーカスしているだけあり、機能の充実度は比較にならないぐらい高いです。

 特に驚いたのは、充実した履歴管理機能。
元に戻したり変更箇所を確認したりできますから、簡単な共同原稿の作成とかはこれでやれば非常に便利な気がします。

 また、ワードを直接HTMLに変換できたり、それをPDFに変換できたりと、まさにワードプロセッサに必要な機能をほとんど網羅している印象があります。
 ワープロには興味が無いので、ノーマークでしたが、これは本質が違いますね。

 ドキュメントを共同で作成するというのがゴールのプロジェクトなりコラボレーションであれば、何も大げさなプロジェクト管理サービスを使わなくても、Writelyで直接ファイルを共有して共同編集した方が効率が良さそうな印象もあります。
 ウェブで共有することにより、ワードプロセッサというソフトの新たな側面が開けたといえば良いでしょうか。

 前述の二社がプロジェクト管理ツールの軸から、そのコミュニケーションの手段としてリッチテキストアプリを追加しているのに対し、Writelyは文書作成サービスから共同作業ツールに流れていく可能性は十分あるように感じられます。
 要注目のサービスです。

COLLECTION & COPYにWritelyのSam Shillanceのインタビューの翻訳が掲載されています

writely2gif.gif【Writelyの主な機能】
・文書作成機能
 リッチテキストファイルを手軽に作成することができる
 文字のサイズ、フォント、色、修飾等をすることができる
 リンクや画像の貼り付けをすることができる。
 HTMLのソースを表示することができる。
 文書の修正履歴を記憶し、前のバージョンに戻ったり比較したりすることができる。

・文書変換機能
 Microsoft Wordの文書をそのままHTMLに変換することができる。 

・文書管理機能
 作成した文書を一覧で管理することができる。
 タグや☆印などを追加して管理・検索することができる

・共有機能
 他のメンバーとファイルを共有することができる
 権限を付与したメンバーとファイルを共同編集することができる
 メンバーに対してメールを送付することができる。
 インターネット上に文書を公開することができる

・その他
 ブログに文書を直接ポストすることができる


【Writelyの概要】
運営:Upstartle, LLC. (Silicon Valley)
開始:2005.08.29
収益:特に無し、将来は有料版の提供を予定

2006年1月11日

Central Desktop (プロジェクト管理ツール)

central.gif Central DesktopBasecampと同様ウェブベースのプロジェクト向けサービスです。
 「The Best Web 2.0 Software of 2005」のプロジェクト管理ソフト部門に並んでいましたので、あわせてレビューしたいと思います。

 Central DesktopもコンセプトはBasecampと同様、手軽にプロジェクト単位の情報共有を実現することにあるようです。
 そういう意味では実装されている機能も似ているのですが、より多機能で料金も高めの印象です。(とはいえエンタープライズアプリケーションに比べれば非常に安いですが)

 Basecampとの最大の違いは無料版が無い点、30日間の試用期間が終了すると料金を支払わないと利用ができなくなります。
 機能的にそれほど大きな差は無いのに、ネット上での話題性に違いがあるのはこの点も影響している気もします。
(もちろん、Basecampは先発ですし、運営会社の37Signals自体が注目されていたり、ユーザーインターフェースにこだわりがあったりという点はありますが)

 機能面で参考にしたいのは、更新履歴に対するこだわり。
 新規登録、修正などのメンバー別の履歴がずらりと更新履歴に並んだり、メールやRSSで一日の更新情報を受け取れたりと、「Reduce Team Spam」というタイトルのメインメッセージから来るこだわりが感じられます。

 また、ちょっと感動したのがポータルやノート機能で、カレンダーとかディスカッションのスレッドをブロック単位で貼り付けられる点。
 手軽にカスタマイズしたポータルを作ることができます。
 こういったところは、是非参考にしていきたいです。

 ちなみに、残念ながら日本語が文字化けするので、日本企業での実利用はちょっと難しいです。


central2.gif【Central Desktopの主な機能】

・パーソナルポータル機能
 自分の締切が過ぎたタスク・マイルストーン、及び10日以内の予定を一覧できる
 自分のタスク一覧を表示することができる
 自分のカレンダーを3ヶ月分一覧できる
 パーソナルなワークスペースを使うことができる

・プロジェクトポータル機能
 プロジェクト単位の更新履歴を表示することができる
 プロジェクトカレンダー、及び締切を過ぎたマイルストーンを一覧できる 
 ポータル自体を編集することができる

・ToDo(タスク)管理機能
 件名と締切のタスクを作成することができる
 2階層のタスク管理機能がある
 タスクを人にアサインでき、メールで通知することができる
 タスクに対してメンバーがコメントを付けることができる
 タスクリストをマイルストーンにひもづけることができる

・マイルストーン管理機能
 日付で目標日を設定して処理の管理ができる
 マイルストーンを人にアサインでき、メールで通知することもできる

・予定表(カレンダー)機能
 タスク、マイルストーン、予定(イベント)を3ヶ月一覧できる
 件名と時間、内容を設定した予定を作成できる
 定期的な予定も作成することができる


・掲示板(ディスカッション)機能
 件名と本文で構成されたメッセージを書き込むことができる
 メインメッセージに対してコメントを時系列でつけることができる。
 メッセージにカテゴリ(フォルダー)を設定することができる。
 メッセージとマイルストーンを関連付けすることができる。
 メッセージの投稿別に通知メールを、メンバー全員又は個別に送ることができる

・ノート機能
 件名と本文で構成されたノート(議事録等)を作成することができる。
 ノートにカテゴリを設定することができる。

・ファイル共有機能
 カテゴリ別でファイルを共有することができる

・共有機能詳細
 プロジェクト(ワークスペース)単位でメンバーを設定して、情報を共有することができる。
 プロジェクト(ワークスペース)をウェブで公開することができる
 複数のプロジェクト(ワークスペース)を同時に管理することができる
 人気のあるページ一覧を見ることができる
 メンバーは他のメンバーの書き込みを編集することができる。
 他のメンバーの最終ログイン日を表示することができる。
 企業単位で管理を行うことができる(企業版のみ)
 独自ドメインを利用することができる(企業版のみ)

・検索機能
 テキストや文書(ワード、エクセル、パワーポイント、PDF)の全文検索が可能

・その他
 全ての文書の更新履歴を保持している
 掲示板、ノート機能でリッチテキストを使うことができる
 一日の更新履歴をメールやRSSで取得することができる
 ワークスペースをコピーすることができる
 SSLで通信を暗号化することができる(企業版のみ)
 サイトのテンプレートを変更することができる
 画面の色設定を自由に変更することができる


【CentralDesktopの概要】
運営:Central Desktop Inc.(Pasadena, California.)
   (Isaac Garcia, Arnulf Hsu)
開始:2005.06?(2005.09.12正式リリース)
収益源:サービス利用料(容量やスペース数に応じて月24$~月249$、30日間無料試用可能)

企業内と企業外の違いにある意味

 ZDNet の「エンタープライズニュースの読み方」で下記のような記事がありました。

ZDNet Japan Blog - エンタープライズニュースの読み方:魚は潮の流れの良いところに棲む

ここで違和感を感じてしまうのが、企業内と企業外という区分である。当然、企業には機密情報があり、ガバナンス強化は必達事項である。それ故に、内部のコミュニケーションと外部のコミュニケーションとの間には、明確な線が引かれてしまう。

 弊社のソフトウェアのテーマとしても、「組織や企業の壁を超える」というのを一つのキーワードにしていますが、最近のトレンドを考えると飯田さんが書かれているように、「企業内で情報共有する」というグループウェア的なアプローチと、個人レベルでネットワーク化されて、情報がコミュニケーションされるブログやSNSのようなツール群の間で、コンセプトなり仕組みの大きなギャップを感じています。

 当然、企業によってどちらが必要とされているかというのは異なるわけですが、果たして今後どれぐらいのペースや規模で、そういうオープンなアプローチが取られるのか、というのはこれまた難しいところです。
 ただ、一つの大きな変化として、個人レベルのツール群の魅力に気づいている人が増えている点は無視できないところですね。

 この辺りの見極めが、今後重要になってきそうな感じがします。

2006年1月10日

マイクロソフト、「Project Elixir」のサンプルコードを公開

 CNETにこんな記事が掲載されていました。

 マイクロソフト、「Project Elixir」のサンプルコードを公開 (CNET)

Microsoftは、「Outlook」でSiebel Systemsの顧客情報システムのデータを閲覧するのに利用する無料ソフトウェアのコードをリリースした。こうした社内プロジェクトを立ち上げることで、他企業が同様のプログラムを開発することをMicrosoftは望んでいる。

 先月、OutlookからSAPを利用できる「Mendochino」という製品の記事が掲載されたばかりですが、今回のMicrosoftはかなり本気で、Outlookのビジネス情報用アクセスソフトの地位を確立しようとしているようです。

 日本では比較的Outlookのシェアは低いようなので、あまり短期的にインパクトのある話ではないかもしれませんが、米国では結構Outlookを中心に使っている企業・人が多いという話を聞くので、この動きは注目です。

2006年1月 6日

Basecamp (プロジェクト管理ツール)

basecamp.gif Basecampは、Web2.0サービスの代表企業ともいえる37signalsの本丸にあたるサービスです。
 
 従来の複雑なプロジェクトマネジメントではなく、プロジェクトで重要なのはコミュニケーションであると宣言。インターフェースにこだわった使いやすいウェブサービスを提供して話題を呼んでいます。
 「BusinessWeek Best of the Web 2005」や「The Best Web 2.0 Software of 2005」にも選ばれており、Basecampの利用者数は無料版を含めるとすでに10万人を超えているそうで、今年は他のサービスも含めて利用者数が100万人を超えるのではないかという予想もあるようです。

 アリエルでも、プロジェクト管理で重要なのはコミュニケーションだ、とこだわってやってきただけにコンセプトは非常に共感できるところ。参考になる点もたくさんありました。


 特に注目すべきは、機能をできるだけシンプルに使いやすく維持しようとしている点でしょう。
 ソフトウェアにおいては複数の顧客要望にこたえようとすると、どうしても機能が複雑になってしまいがちです。特にプロジェクト管理の分野はその傾向が非常に強いのですが、Basecampはその部分をかなりばっさりと割り切っています。
 
 ウェブサービスですから、登録すればすぐに利用を開始できますし、データの登録方法もAjaxを使っていて実にシンプル。特にデータの登録や修正の手軽さは、是非参考にしたいところです。
 (ちなみに、37signalsのJason Fried氏の公演のPodcatingの内容がgoodpicにまとめてあり、こちらも大変参考になります)

 また、機能としては有料版のみで可能なTime Tracking機能が、シンプルながらも必要十分の機能が揃っている印象があり、プロジェクトAにも是非参考にしたいところです。


 ちなみに、これが日本でそのまま流行るかと聞かれたら、その辺は微妙なのが難しいところです。
 正直、日本人の目から見ると、ウェブ型のグループウェアとしての機能や使い勝手はサイボウズやデスクネッツの方が、かなり上まわっているように見えます。(そういう意味では、ウェブグループウェアの先鞭をつけたサイボウズの先見の明がすごいということだと思いますが)
 それでもサイボウズさんも、米国進出では過去に苦戦した経験があるそうですから、やはりこの辺りは文化だとかワークスタイルの違いみたいなものが大きく影響している可能性もあります。

 そのあたりは、しっかり見極めて行きたいところです。
 

basecamp2.gif【Basecampの主な機能】

・パーソナルポータル機能
 関連しているプロジェクトの状況を表示することができる
 自分のToDo一覧を表示することができる
 自分のマイルストーン一覧を3ヶ月分一覧できる
 企業名と個人名等でコンタクト情報を入力することができる

・プロジェクトポータル機能
 プロジェクト単位の更新履歴を表示することができる
 2週間以内、及び締切を過ぎたマイルストーンを一覧できる 

・ToDo管理機能
 Tada-listと同様のタスク管理機能がある(無料版は期間等の設定はできない)
 ToDoリストのテンプレートを作成することができる
 ToDoリストに締切や作業時間を設定することができる(有料版のみ)

・マイルストーン管理機能
 日付で目標日を設定して処理の管理ができる

・作業時間管理(タイムトラッキング)機能
 ToDoリストと連携してメンバーの作業時間を一覧で管理ができる(有料版のみ)
 作業時間の合計を出すことができる(有料版のみ)

・掲示板(メッセージ)機能
 件名と本文で構成されたメッセージを書き込むことができる
 メインメッセージに対してコメントを時系列でつけることができる。
 メッセージにカテゴリを設定することができる。
 添付ファイルをつけることができる(有料版のみ)
 メッセージとマイルストーンを関連付けすることができる。

・リッチテキストファイル作成機能
 Writeboardを使ってリッチテキストファイルが作成できる
 (独自のフォーマットを使用、それほど使い勝手は良くない気がする)

・ファイル共有機能
 ファイルに概要等の情報を加えて共有することができる

・共有機能詳細
 プロジェクト単位でメンバーを設定して、情報を共有することができる。
 管理者は他のメンバーの書き込みを編集することができる。
 他のメンバーの最終ログイン日を表示することができる。
 複数のプロジェクトを同時に管理することができる(有料版のみ)

・検索機能
 メッセージ、コメント、添付ファイルを名前で検索することができる。

・その他
 ToDoリストの並び順変更はドラッグで実行できる。
 サイトのロゴを自分で設定できる
 画面の色設定を自由に変更することができる
 RSSやicalで最新情報の取得を行うことができる
 メッセージとコメントをXMLで出力することができる
 SSLで通信を暗号化することができる(有料版のみ)


【Basecampの概要】
運営:37signals,LLC (Chicago)
開始:2004.02.05
開発環境:Ruby on Rails
収益源:有料版(容量やプロジェクト数に応じて無料版から月12$~月99$)

2006年1月 4日

Yahooカレンダー (ヤフーカレンダー)

yahoo.gif 2006年最初のレビューは、先月のCalendarHubのレビューついでに、Yahoo!カレンダーを改めてレビューしてみました。

 昔、ヤフーカレンダーを使っていたことがあるのですが、さすがヤフーと言うべきか、いつの間にか機能がずいぶんと追加されていますね。
 簡単なグループウェア的な使い方もできるようになっているので、個人事業などをしている方など、あまりスケジュール共有に重きを置いていない人は、これで十分かもしれません。

 特にヤフーならではで面白いのは、カレンダーにスポーツイベントや占いなどの情報を表示させることができる点。先月レビューしたソーシャルカレンダーのような細かいイベント情報はありませんが、Upcomingも買収したことですし、日本のヤフーカレンダーにも実装するのは技術的には問題なさそうです。

yahoo2.gif また、モバイル対応も充実していますし、カレンダー以外にメール機能、ToDoリスト、アドレス帳、ノートパッドなんかも無料で使うことができますから、非常に便利です。
 ちょっと、バナー広告が邪魔な感じもありますが、個人向けオンラインカレンダーという意味では、ヤフーカレンダーで十分という印象です。

(そういう意味では、マルチスケジューラとデータ同期できるようにしたいところですが、残念ながらデータの同期は対応していないようです。(※CSV形式のデータのインポート・エクスポートはできるようです。))


【Yahoo!カレンダーの機能】

・スケジュール管理機能
 タイトル・時間・詳細・URL・場所などの情報を登録することができる。
 一覧画面から件名と時間設定だけをしてクイック登録ができる。
 予定の公開設定を非公開、予定あり、公開の三段階に設定できる。

・カレンダー機能
 日、週、月、年、リスト単位で予定を表示することができる。
 表示時間帯や週の開始曜日を変更することができる
 天気や占い、花粉情報をアイコンでカレンダーに表示できる

・共有機能
 他の人のカレンダーやスポーツイベント情報を重ねて表示することができる。
 予定をメールで該当のメンバーに送って出欠確認をすることができる
 「友だち」にだけ予定を公開したり、「特別な友だち」にだけ修正を許可したりすることができる。
 自分のカレンダーをネット上で公開することができる。

・リマインド機能
 予定ごとに時間を指定してメールでリマインドができる。
 (デフォルトで15分前にメールが送られる)

・ウェブデータ連携
 アーティストの新譜情報、オークションの終了日時、スポーツの開催日時、新規上場・決算発表等の予定表を取得することができる

・携帯連携機能
 携帯で予定表を利用することができる。
 予定表のiアプリも利用することができる。

・その他
 カレンダーだけではなく、メール・アドレス帳・メモ帳も利用できる。
 データのインポート・エクスポートは無い?
 

【Yahoo! カレンダーの概要】
運営:ヤフー株式会社
開始:2000.07.13 (日本)
収益源:バナー広告中心?

2006年1月 3日

手帳の使い勝手を超えるソフトウェアを目指して

 2006年は、手帳の使い勝手を超えるソフトウェアやサービスを考えるというのを、改めて個人的なテーマにしたいと考えています。

 きっかけとなっている記事はこちら。

Japan.internet.com デイリーリサーチ - スケジュール管理ツールに求めるものは? 「手帳」がケータイと PC を圧倒

 昨年、11月末のリサーチ結果ですが、スケジュール管理ツールとして利用しているものとして手帳がダントツの1位という結果が出ています。

 インターネットリサーチでこの結果ですから、世間一般で考えれば圧倒的に手帳や紙のツールが主流というのはしばらくは変わらないでしょう。


 ただ、手帳では難しいことが、ソフトウェアやインターネットサービスでは可能になります。
 もちろん、その分、紙の使い勝手は失われるわけですが、データがデジタルになることで、記入できる情報は無限に増えますし、データの修正や再利用、連携などが簡単にできます。
 
 そして何より、他のメンバーと手軽に共有することができるわけで、これは手帳ではなかなか難しい機能のはずです。

 手帳の代わりとして、利用者の使い勝手をできる限り損なわずに、デジタルデータのメリットを生かす、そんなソフトウェアやサービスをどうやれば生み出していくことができるのか。
 このブログでは、そういった点に焦点をあてて、サービスのレビューや関連ニュースのクリップをしていく予定です。

 あらためて、よろしくお願いします。

2006年1月 1日

徳力基彦のプロフィール


【略歴】
徳力基彦(1972年11月16日生)

 NTTにて法人営業やIR活動に従事した後、IT系コンサルティングファームを経て、2002年にアリエル・ネットワークに入社。情報共有ソフトウェアの企画や、ブログを活用したマーケティング活動に従事。2006年からは、ブログネットワークのアジャイルメディア・ネットワーク設立時からブロガーの一人として運営に参画し、2007年7月に取締役に就任。ITmedia BizID「デジタルワークスタイルの視点」や、ダイヤモンド・オンライン「ブログの歩き方」の連載等、最新のネットツールや仕事術に関する複数の執筆・講演活動も行っている。
 個人でも「tokuriki.com」や「ワークスタイル・メモ」等の複数のブログや、ブログコミュニティの「FPNニュースコミュニティ」を運営するなど、幅広い活動を行っており、著書に「デジタル・ワークスタイル」、「アルファブロガー」等がある。

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最近の講演や取材対応についてはこちら


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