2006年5月16日

見える化とは (5) 「見える化」の10のポイント

見える化-強い企業をつくる「見える」仕組み前回に続いて、「見える化」本のご紹介です。

 書籍の最後で、効果的な「見える化」のための10のポイントが掲載されていますので、最後にまとめとして紹介したいと思います。(このポイントは以前にZDNetの記事に掲載されていたものと同じです。)

■効果的な「見える化」のための10のポイント
1 まず現状の棚卸しから始める
2 「見せたくないもの」「見せられないもの」ほど「見える化」する
3 「見える」もの、「見せる」ものを絞り込む
4 態度・タイミングを重視する
5 アナログとデジタルを使い分ける
6 わかりやすく、シンプルに
7 現場の当事者自身が「見える」ようにし、仕組みもつくる
8 本当の勝負は「見えたあと」
9 「見える化」のノウハウを共有する
10 経営トップが「見える化」を牽引する

 個人的に印象に残っているのは、やはり5番のアナログとデジタルの使い分けでしょうか。
 手段が目的化しないように、まず最初の定義が非常に重要だと感じます。

 また「見せたくないもの」「見せられないもの」ほど見える化するというのも重要ですね。
 特にシステムを構築する際には、見せやすいものを見られるシステムになってしまったり、実際に必要な情報を表示するのに異様に面倒なシステムになってしまったりしがちですので注意したいところです。

 詳細については、是非書籍を読むことをお勧めします。

【関連記事】
見える化とは (1) 現場力を向上する
見える化とは (2) 「見る」ではなく「見える」
見える化とは (3) 「見える化」の5つのカテゴリー
見える化とは (4) 「見える化」すべき3つの情報
見える化とは (5) 「見える化」の10のポイント

見える化-強い企業をつくる「見える」仕組み見える化-強い企業をつくる「見える」仕組み
遠藤 功


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2006年5月15日

見える化とは (4) 「見える化」すべき3つの情報

見える化-強い企業をつくる「見える」仕組み 前回に続いて、「見える化」本のご紹介です。

見える化本では、1部が解説、2部が事例紹介という形式になっているのですが、1部の最後になるのがこの3つの情報の話です。
書籍では、見える化とは単なる情報共有ではなく、「問題解決のための情報共有」であると強調されており、見える化の対象となる情報を、三つに分類しています。

 
■見える化すべき3つの情報

1.信号情報
異常や問題が発生したという事実を伝え共有

2.支援情報
特定された問題解決を支援するための情報

3.基礎情報
網羅的・多面的な情報やデータ

ここで強調されているのがそれぞれの情報によって「見える化」の仕方に向き不向きがあるということ。  システム開発の側としてはIT偏重になることの問題を改めて考えさせられます。
この情報分類ごとのアプローチは、企業向けシステムの製品開発に非常に参考になりそうです。

■情報の種類によって異なる見える化の方法論

 基礎情報 支援情報 信号情報 
 主たる目的問題発見/解決 問題解決 問題発見 
 主たる情報内容定量・定性情報 定量情報 信号/データ/現物 
 主に使用される
 カテゴリー
 「状況」「顧客」「経営」「問題」「知恵」
 「問題」
 情報の量 多中 少(ピンポイント) 
 「見える化」の
 道具立て
デジタル中心 デジタル・アナログ両方 アナログ中心

 

【関連記事】
見える化とは (1) 現場力を向上する
見える化とは (2) 「見る」ではなく「見える」
見える化とは (3) 「見える化」の5つのカテゴリー
見える化とは (4) 「見える化」すべき3つの情報
見える化とは (5) 「見える化」の10のポイント

2006年5月10日

見える化とは (3) 「見える化」の5つのカテゴリー

見える化-強い企業をつくる「見える」仕組み 前回に続いて、「見える化」本のご紹介です。

書籍では具体的な見える化のカテゴリーについて、5つに分類して具体的に紹介されています。

■「見える化」の5つのカテゴリー

1.問題の見える化
企業活動において発生する大小さまざまな異常や問題が、タイムリーに「見える」ようにする

2.状況の見える化
企業活動の現状がどのような状態になっているのかが「見える」ようにする  (状況が見えなければ、問題を発見したり、打ち手を講じたりするのは不可能)

3.顧客の見える化
市場の変化に敏感な企業でありつづけるために顧客が「見える」ようにする  (見える化は企業の内部活動に限定して考えがちだが、もっとも重要な柱の一つが顧客の見える化)

4.知恵の見える化
社内のあらゆる知恵を結集させたり、暗黙知を形式知に変換させて「見える」ようにする  (問題解決を可能にするのは、人間の知恵であり創意工夫)

5.経営の見える化
オペレーション全体の執行を監視・監督するために経営を「見える」ようにする  (上記の4つのカテゴリーはオペレーションの見える化)


まぁ、こうやって並べてみるとある意味当たり前のことではあるのですが、たしかにこの5つのポイントをちゃんと実践できている企業がどれだけあるかというと非常に少ないように感じます。
特に、システムやソフトウェア側から考えてしまうと、個別の問題点に対する対処療法になってしまいがちですが、こういった全体を捉えた視点での本質的な問題解決ができるものを目指していきたいです
 
ちなみに、書籍では5つのカテゴリーに11の対象項目が掲載されていますので、こちらもあわせてご紹介しておきます。

■「見える化」の5つのカテゴリーと11の対象項目

カテゴリー
  対象項目
1.問題の見える化
 異常の見える化
 ギャップの見える化
 シグナルの見える化
 真因の見える化
 効果の見える化
 2.状況の見える化 基準の見える化
 ステータスの見える化
 3.顧客の見える化 顧客の声の見える化
 顧客にとっての見える化
 4.知恵の見える化 ヒントの見える化
 経験の見える化
 5.経営の見える化 

  詳細は書籍をご覧ください。

【関連記事】
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2006年5月 8日

見える化とは (2) 「見る」ではなく「見える」

見える化-強い企業をつくる「見える」仕組み 前回に続いて、「見える化」本のご紹介です。

 書籍では、見える化のポイントとして、見える化は単純な情報共有ではなく、「見る」努力をしなくても自然と事実や問題が目に飛び込んでくる「見える」状態を作ることを上げています。
 具体的な見える化の勘違い例としてあげられているのが下記の四点。

■見えていると勘違いしている企業の4つの共通点
 1.「悪い情報」が見えていない
 2.「組織」として見えていない
 3.タイムリーに見えていない
 4.伝聞情報しか見えていない

 実際、情報共有のためのシステムやツールを導入する際というのは、その導入自体が目的化してしまい、本質的な問題を忘れた議論になってしまいがちです。
 そうすると、実際に共有されるべき情報が共有しにくいシステムを作ってしまい、誰も使わないということになるという結果になるのは非常によくわかります。


 あわせてこんな見える化の落とし穴の紹介もありました。

■「見える化」の四つの落とし穴
 1.IT偏重
 2.数値偏重
 3.生産偏重
 4.仕組み偏重
 
 特にわれわれソフトウェアやシステム系の企業が陥りやすいのが1のIT偏重でしょう。
 システムを導入したところで、そのシステムから問題点が浮き彫りになって利用者に伝わらなければ意味が無いわけで、このあたりは気をつけたいところです。

 ちなみに、書籍では、結果を定期的に壁に張り出したり、アナログな手法との組み合わせが紹介されていましたが、個人的には携帯電話をアラートなどにうまく活用することで、PCの画面の中に閉じた世界から、利用者の意識までつなげた世界を構築することができるのではないかと感じています。

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2006年5月 1日

見える化とは (1) 現場力を向上する

見える化-強い企業をつくる「見える」仕組み 見える化については、以前関連ニュースを紹介したことがありますが、書籍「見える化 - 強い企業をつくる「見える」仕組み」を読みましたので、改めてこちらのブログで書籍のポイントをまとめて見たいと思います。

 書籍によると、そもそも見える化が重要になってきている理由は、経営の三要素である「ビジョン」「競争戦略」「オペレーション」のうち、企業間で大きな格差がでているのが3番目の「オペレーション」つまり「現場力」であるという視点で解説されています。

■三つの条件が揃った「現場力」
 ・問題解決に対する「当事者意識」 
 ・全員理解・参加の「組織能力」
 ・高い志による「優位性構築」

 この「現場力」、つまり「組織としての問題解決能力」を向上するために必須なのが、第一歩としての問題を発見したり設定する能力、つまり「見える化」ということのようです。

 書籍では見える化の元祖ともいえるトヨタの「アンドン」の事例を元に、下記の3つのポイントを指摘しています。

■トヨタにおける「アンドン」にみる「見える化」の本質的意味
 1.問題の開示・告知
 2.この責任による問題発見
 3.チームによる問題解決 

 このポイントは、問題を探すだけでなく、解決するところまでをセットとして流れを作っているところのように思います。
 問題が見つかっても、それが他人の責任に転嫁できてしまうと、ついつい問題の押し付け合いになってしまいますが、問題を自分およびチームのものだと明確に認識できれば、解決にもスムーズに結びつくように感じます。

 エアワン・シリーズでも、チームでの問題共有という点にこだわってきましたが、このあたりの仕組みは、ソフトウェアの世界にももっと反映する余地がありそうです。


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