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2008年7月25日

Xobni (OutlookをGmail以上に便利にしてくれるかもしれないプラグイン)

xobni1.png Xobniは、先日のIVSにもプレゼンターとして参加されていたアメリカのベンチャー企業です。
 プレゼン前に試しにプラグインを入れて見たら、想像を超えて恐ろしく良くできていてすっかりファンになってしまいましたので、レビューを公開しておきます。

 Xobniの実現してくれることを一言で言うと、Outlookを自動的にメールSNS的なソフトに変えてくれるプラグインソフトです。


xobni2.png まず、何と言っても分かりやすいメリットが検索機能。
 Outlook画面の右側に表示されるボックスから文字を入力していくと、人ベース、メールベースでガンガンと検索結果が表示されます。
 OutlookがGmailと比べて批判されるのは検索機能の貧弱さが1つにあったように思いますが、Xobniを入れることで、このストレスのかなりの部分が解消されてしまいそうな雰囲気です。


 さらに、個別のアドレスを選択すると、その人と過去に交わしたメール一覧が表示されるのはもちろん、メール本文から電話番号を自動的に取得してコンタクト情報を表示したり、相手とのメールの送受信の数、相手がメールを送ってきている時間帯のグラフなどを表示する自動生成プロフィール的な機能も実装。

 相手とやり取りした添付ファイルも一覧で表示してくれますから、あの添付ファイルどのメールだっけ?なんていう不毛な検索も必要なくなりそうです。

 さらにXobniの興味深いのは、Outlookのプラグインというおまけの立場から、徐々にそのターゲットを拡げようとしている点。
 IVSのプレゼンでもOutlookだけに特化するつもりはなく、独自のWebサービス提供の可能性に言及していたりしましたが、併行してLinkedInやSkype等、他のウェブサービスとの連携も強化しているようです。

xobni3.png
 
 ccに入っている人を、プロフィール上でその人の関連する人と表示したりというアプローチも興味深いところで、メールデータをコアにしてメールのつながりから人のつながりを可視化するという独特のソーシャルグラフのアプローチというのが見えてきます。

 ビルゲイツが、Officeデベロッパーズカンファレンスで、べた褒めしていたとか、Microsoftが2000万ドルで買収しようとしたという話も、これを見るとなるほど納得という印象です。

 ちなみに、今後はヤフーメール等、ウェブメールもターゲットにしていく予定があるようです。


 まぁ、何と言っても百聞は一見に如かず。
 文字で読んでも良くわからんという人は、下記の動画を見てみて下さい。

 ネット界隈でのGmailブームを横目で見ながら、やっぱりOutlookを使い続けてしまっているという私のような人には、是非一度試してみることをお勧めします。

【Xobniの主な機能】
・メール検索機能
 キーワードでメールを高速に検索することができる
 人単位でメールや添付ファイルをまとめて表示することができる
 メールでの会話をスレッド形式で表示することができる

・メール統計機能
 それぞれのアドレスと何通のメールをやり取りしているか表示できる
 先方からのメールが何時頃に多いかグラフで表示することができる

・プロフィール機能
 電話番号等の情報を自動的に取得してプロフィールに表示することができる
 LinkedInとプロフィール情報を連携することができる
 Skypeと連携して電話番号から直接Skypeを立ち上げることができる
 メールのccを分析して関連する人を表示することができる


【Xobniの概要】
運営:Xobni Corporation. (San Francisco, CA)
開始:2008,1?
収益源:有料サービス?


【Xobniの画面】
xobni.png

ハッカー級のプログラマを育成するプログラムに興味のある方に

 アリエル・ネットワークでは、空気のように、意識せずに使えるサービス開発というビジョンのもとに、日々開発に励んでいるのですが、海外に負けないソフトウェアやサービス開発のために、エンジニアのレベルアップに注力しています。

  もちろん、そうやって口で言っているだけでは、どういう人を求めているのか伝わりづらいと思われるので、現在、こんな形で若手エンジニア育成の為のプログラムに興味がある方の応募を行っています。

ariel_jobposting.png

 まぁ、正直な話私自身は文系人間なので、上記の問題自体がビンゴにしか見えなかったりするのですが、こういう問題を解いていくのが得意だ!とか、アリエルのエンジニアがどの程度のものか見てみてやろうという方は、遠慮なくお申し込み下さい

2008年7月17日

popIn (無駄な寄り道をせずに関連情報を検索できる辞書ツール)

popin1.png 先日、林信行さんのnobilogpopInという面白そうなツールが紹介されていましたので、試しにレビューをしてみました。

 popInは一言で言うと、ページ内辞書ツールという感じでしょうか。
 ブラウザのブックマークレットとして、popInを登録しボタンを押してからページ内の気になる単語を選択すると、そのページ内でその単語に関する画像や動画、辞書などを検索することができます。

 もちろん、普通のブラウザでもページ内の文字を検索ボックスにドラッグして新しいページで開くという手はあるわけですが、popInの興味深いのはページの中で検索を完結できるという点。
 
popin2.png

 私なんかは通常は検索行為をするときに、複数のタブをどんどんと開いていくわけですが、これをやると言葉の意味を調べるつもりがどんどんと他のところに目移りして、もともと何を調べるつもりだったか忘れてしまう、なんてことが良くあります。

 popInだと、あくまで検索結果は小窓として表示されますから検索が終わったら閉じれば元の状態に戻るわけで、雑誌を見ている間にちょっと意味が分からなくて辞書を引いた。というような感覚が再現できそうな気がします。

 逆に、読者をサイトから逃したくないメディアサイトなんかにとってもメリットがありそうなサービスです。


 実際の使い勝手については、下記の動画を見てもらうのが一番分かりやすいと思います。

 個人的なサービスの印象としては。
 現在だと、調べたいときに一度ブックマークレットを押してから、文字をドラッグしないといけないのが、ちょっと面倒な気もするので、popInモードに入ったら文字にマウスオーバーするだけでpopInアイコンが出てくるとか、はてなダイアリーみたいに検索されるであろうキーワードに一気にアイコンを出してしまうとかも、あっても良い気がします。

 まぁ、何にしてもサービスが開始されたばかりのサービスなので、今後に注目というところでしょう。


 ちなみに、このサービスで興味深いのが、東京大学大学院発のベンチャーという点と、サイトの構成上おそらくサービスを多言語展開する気満々という点。(現在は日本語しかないようですが)

 mixiの笠原さんなんかももともと学生起業家だったわけですから、学生のネットベンチャーというのはもうそれほど珍しくないのかも知れませんが、大学やVCもバックアップしていて、起業する段階から世界を見据えているサービスというのは、なかなか国内では少ないパターンのように思います。

popin3.png

 林さんもアドバイザーとして参加されるそうなので、いろんな意味で注目したいベンチャー企業です。


 CNETに背景等については詳細の記事がでていますので、詳しく知りたい方はこちらもどうぞ。

閲覧中のサイト上に気になるキーワードの検索結果を表示--東大発ベンチャー「popIn」始動 - VENTURE VIEW

2008年7月11日

iPhoneをケータイと比べるべきか、PCと比べるべきか

 いよいよiPhoneが日本でも今日発売ということで、いろんなところで行列祭りになっているようですね。

 個人的には、そのうちきっと買うことになるんだろうけど、とりあえずは様子見というスタンスの人間なのですが、iPhoneをめぐる議論で気になることがあったので、メモをしておきたいと思います。

CNETのオンラインパネルディスカッションにも投稿しておきます

iphone3g.png

 日本におけるメディアの論調は基本的に、iPhoneが勝つか日本のケータイ電話が勝つかというものが多いような気がします。
 Felica機能やワンセグ機能が無いことをあげてみたり、タッチパネルの入力とケータイのキーボードの比較をしてみたり。

 ソフトバンクモバイルという携帯電話事業者から販売されるわけで、当然と言えば当然なのかも知れませんが、やはりiPhoneという端末をその視点から比較するのはどうも間違っているような気がしてなりません。


 WWDCのプレゼンテーションや、実際にiPhoneを使っている人の感想なんかを見ていると、iPhoneという端末は、携帯電話というよりはPCの延長で考えてもらう方が理解できるような気がしてきます。

 それも単なるPCではなく、インターネットに常時接続されているコンピュータという意味でのPCとして。

 もちろん、日本のケータイ電話は、もともと電話機だった端末がインターネットに対応したという意味では、それはそれですばらしい端末になっていると思います。
 お財布ケータイ機能もあれば、テレビも見れるし、ゲームもできれば、地図にもなる。
 そんなケータイ電話が、今や日本人の生活に欠かせない端末なのは否定の余地はありません。


 ただ、iPhoneの目指しているところと、既存のケータイ電話を比較すると、やはりどうしても異質なモノであるという感じは避けられません。


 誤解を恐れずに極端な事例で例えると。

 iPhoneと既存の携帯電話端末を比較するというのは、一昔前にワープロ端末が全盛だった時代に、ワープロ専用機とPCを比較しているような、そんな感覚を感じてしまったり。
(もちろん当時のワープロに比べれば、今のケータイ電話ははるかに魅力的で揺るがない市場ではあるのですが)

 実際、iPhoneは買うけれども、これまでのケータイ電話も継続して持つという人は案外多いのではないかと思っています。


 そういう意味では、iPhoneが提示しているのは、固定PCと同じように、いつでもどこでもインターネットを利用できるという、真のモバイルコンピューティングの未来だと思います。
 もちろん、これまでも軽いノートPCやUMPCと、E-mobileやウィルコム等のデータカードを組み合わせたり、Windows Mobile PCのスマートフォンを使うことによって、ある程度のモバイルコンピューティングは実現できています。


 ただ、ほとんどの端末はやっぱり机に座って使うのが前提になっていたり、端末の使い勝手が悪かったり、機能的に劣っていたりで、本当の意味でのモバイルコンピューティングではなかったのではないか、というのがiPhoneから感じるメッセージです。

 WWDCのプレゼンテーションでも、SDKを活用した数々のアプリケーションのプレゼンテーションがありましたが、はっきり言って「電話」としての機能について言及しているモノはほとんどなく、医療からゲームや音楽など、コンピュータとしての可能性を感じさせるプレゼンばかりだったように記憶しています。

 モバイルで持ち歩くコンピュータの姿はどうあるべきか、というのをアップルの人達が必死で考えた姿というのが、現在のiPhoneの姿なのでしょう。
 ある意味PCと比較するのも間違っていて、モバイルインターネット端末と呼ぶのが正しいのかも知れませんが。

 当然、まだまだ真の理想に向けては足りないことというのはいろいろあるのでしょうが、iPodですら発売当時はあまり注目されていなかったことを考えると、現在のiPhoneのスタートというのは十分すぎるほど成功なのだと思います。

(個人的には、PCと携帯電話機両方作っていて、この分野に一番近かったはずの日本のメーカー群が、音楽プレイヤーに続いてアップルに先を越されてしまったのが残念なところではあります。)


 そういう意味で今回のアップルの発表の中で、個人的に一番注目しているのはMobileMe。
 これが想定通りに動作するのであれば、MacとiPhoneはもちろんWindowsPCまでメールやコンタクト情報、予定表などをシームレスに同期することができるわけで。

 本当の意味で、インターネットを通じて全てのネット環境がつながることになります。
 もちろん、携帯電話とPCの同期ソフトとか類似の使い方はケータイ電話にもあるのでしょうか、MobileMeのデモを見る限りやはりネットを通じたシンクロは最強。

mobileme1.png

 その環境をiPhoneで、いつでもどこでも利用できるようになるわけですから。
 明らかにアップルはこれまでと違うレベルのモバイルコンピューティングの世界に到達しようとしている印象です。


 日本では携帯電話端末はどうしても、キャリア間の競争の陰に隠れている印象が強く、iPhoneについても、日本でiPhoneが何台売れるかとか、ソフトバンクモバイルの起爆剤になるのかというような議論が中心になっているように思いますし。
 iPhoneについては他にもiPodの流れから音楽機能がとか、アップル信者が騒いでいるとか、人によっていろんな見方ができるのが難しいところではないかと思いますが。

 インターネットに関わっている人間にとっては、iPhoneというのは未来のモバイルコンピューティング、どこでもインターネットが使える世界を考える上で、体験することが必須の端末なのではないかと感じます。


 とはいえ、iPod Touchを去年買ったばかりで、10年以上のドコモユーザーとしては、今すぐソフトバンクモバイルからiPhoneを買う気になれないのは事実ではありますが。

 まぁ、まずはMobileMeだけ契約してみて、他の人のiPhoneを見せびらかされながら、いずれ買うことを検討せざるを得ないんだろうなーと、そんなことを思ったりしています。


 当然、他の事業者も黙って指をくわえて見ているわけではないでしょうから、iPhoneをきっかけとしてモバイルインターネットの世界がどんな変化を見せてくるのか、改めて楽しみですね。

   

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