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2008年4月23日

Blog It (複数のブログやマイクロブログに同時に投稿できるマルチポストツール)

blogit1.jpg シックスアパートが、Blog Itというなかなか興味深いツールをリリースしたので、早速レビューしてみました。

 BlogItは、一言で言うと、Facebookからブログサービスにマルチポストするためのツール。
 Blog Itの投稿画面から、TwitterTumblrなどのマイクロブログや、TypepadやBlogger、WordPressなどのブログサービスに同時に投稿することができます。

 ブログのダブルポストというのは、倫理的に議論があるところではありますが、FacebookのステータスとTwitterは役割も近いですし、ダブルポストは案外便利かもしれません。
 各サービスのフィード統合機能のように、常に全てにマルチポストするのではなく、投稿ごとに公開するサービスを選択して投稿できるのが投稿型のメリットというところでしょうか。


 ちなみに、現在この機能によってメリットを受けるのは明らかにシックスアパートよりもFacebook。
 先日紹介したFacebookのmini-Feedのインポート機能と、このBlogItを組み合わせれば、Facebookの中から他のサービスに移動せずに、サービスのポストや閲覧が可能。
 Facebookの利便性が更にアップすることになります。

 で、気になるのはシックスアパートにおけるこのツールの位置づけでしょう。
 OpenSocialへの対応もうたっていますが、彼らがFacebookのためだけにこういう機能を開発したとは思えませんから、TypepadやMovableTypeのソーシャル化的な動きにつなげるための一歩のような気もしてきます。
 

 サイトのアイコンの並びで、WordPressはもちろん、今回のアプリにおいては主役であるはずのFacebookが端っこに小さくなっているところからも、そんな意気込みを感じてしまうのは私だけでしょうか?(期待しすぎですかね)

blogit3.jpg


 当然、この投稿側の入り口を押さえるというアプローチはFriendFeedも狙っているところでしょうから、同じような機能をリリースしてくるか、OpenSocial経由でBlog ItをFriendFeedでも利用できるようにするのも時間の問題ではないかと思われます。


blogit2.jpg なんにしても、これからは、FriendFeedのようなフィードの統合の流れと、Blog Itのようなポストする場所の分散の流れによって、徐々にサービス自体のユーザーインターフェースと役割の分離がすすんでいきそうな印象です。

【BlogItの機能】
・マルチポスト機能
 複数のマイクロブログに同時にステータスを投稿することができる
 複数のブログサービスに同時に記事を投稿することができる
 
・アカウント管理機能
 複数のサービスのアカウント情報を登録しておくことができる。

【BlogItの概要】
運営:SixApart (San Francisco, CA)
開始:2008.4公開
収益源:無し?


【BlogItの画面イメージ】
blogit.jpg

2008年4月18日

Facebookが早速FriendFeedを意識した新機能追加を実施

facebook_logo.gif CNET経由で知ったのですが、Facebookに外部のソーシャルサービスのフィードを取り込む機能が追加されました。

 タイミングといい、機能の仕様といい、FriendFeed的なフィードアグリゲータを意識したものなのは間違いなさそう。
 まぁ、もともと、FriendFeed自体が、FacebookのMini Feedにインスパイアされていたものだと想像しているので、Facebookからしたら予定外の機能追加と言うよりは正常進化と言えそうです。


facebook_feed.png

 個人的には、mixiがこれを真似してほしいと思っているのですが、日本でmixiがこれを始めてしまったら、日本でFriendFeed的なサービスが登場する余地は一気に減ってしまいそうな印象です。
 まぁ、フィードを登録するとかって、一部のイノベーター向けサービスなので、mixiがやる必要があるかどうかは微妙ですが。

 また、こうやってFacebookとかFriendFeedとかTumblrとか、フィード系のサービスを他のサービスに取り込み始めると、フィードのループとか、コピーの問題とか、公開非公開の問題とかが出てきそうなのが気になるところです。


 ちなみに、現在のところ、実際にフィードを登録できるのは、Flickr、Picasa、Yelp、Digg、del.icio.usとまだまだ少ないのですが、今後増えるのは間違いないでしょう。

 現状の利用者数や、利用者のアクティブ度を考えれば直接対決になればFacebookの方が有利なのは当たり前。

 ただ、先日CNETに掲載されていたFriendFeed創設者のインタビューなんかを見ていると、FriendFeedもただのフィードアグリゲータにとどまるつもりはなく、TwitterとかSeesmicに直接コメントできるようにして、ソーシャルメディアのポータル的地位を狙ってますから、簡単に引き下がるつもりは元々ないでしょう。

 両者の規模は圧倒的に違うのですが、この両者のコンセプトベースでの争いは今後なかなか面白くなりそうです。

 個人的には、今後FriendFeedが、もともとクローズドのFacebookとちがって、サービス自体がオープンであるという点をいかに差別化で有効に使えるかが鍵になってきそうな気がします。


Facebook、外部SNSのフィードをプロフィールに取り込む機能を追加:ニュース - CNET Japan

「Facebookは米国時間4月15日、ユーザーが数多くの外部ソーシャルメディアでの活動を自分のプロフィール上の「Mini-Feed」にインポートできるオプションを追加したことを、自社のブログで発表した。」

2008年4月16日

Scribd (ドキュメント版YouTubeと呼ばれる文書共有サイト)

scribd2.png.jpg Scribdは、昨年2007年3月にデビューして、大いに注目された文書共有サイトです。
 完全に周回遅れですが、着実に機能を増やしながら伸びてきているようなので今更ながらレビューしてみました。

 サービス開始当初にもしきりと言われたキーワードですが、このScribdはドキュメント版YouTubeという表現がもっともぴんと来るサービス。
 MicrosoftのOfficeシリーズで作成したファイルはもちろん、OpenOfficeのファイルやPDF、画像ファイル等をアップロードして、「iPaper」という専用文書ビューアを通じてネット上で共有することができます。
 拡張子を並べるとこんな感じ。

.pdf, .doc, .txt, .ppt, .pps, .xls, .ps, .rtf, .odt, .odp, .ods, .odg, .odf, .sxw, .sxc, .sxi, .sxd, .jpg, .jpeg, .png, .gif

 技術的にも文書をScribdのサーバーからiPaperに対してストリーミングで配信するというYouTubeと同じような方式になるようです。

Read this doc on Scribd: World Population Datasheet 2007

 表示形式もスライドショー形式、本形式など、複数から選択することができます。

 Officeのファイルなら何もYouTube形式で共有しなくても、オンラインストレージで良いじゃないかと思う人もいるかもしれませんが、なんだかんだと専用ソフトがお互いに入っていないケースというのはありますので、そういうときにブラウザでFlashが動けばとにかく閲覧は可能というのは意外に便利そう。

 基本的にはGoogle DocsZoho Writerのように双方向にファイルを編集したり、オンラインストレージのようにファイル自体を共有するのが目的なのではなく、YouTube同様不特定多数にファイルを見せるのがメインの利用用途になりそうです。


 ちなみに、機能的にはYouTubeとかなり似ているのですが、人気の文書一覧があったり、関連文書がでてきたりと、非常に充実しています。

 また、Scribd経由でブログ等に掲載することで、閲覧件数等を手軽に把握できるのも地味に便利。
 プレゼン資料をブログに掲載したりしたときに、PDFでファイルを置くと、サーバーログでも見ない限り閲覧数を把握することはできませんが、ScribdであればYouTube同様閲覧数は一目瞭然です。
 もちろん、元のファイルをダウンロードできるようにすることもできますので、元ファイルがほしいという人にもちゃんと対応できます。

 
 さらに興味深いのがiPaper自体がGoogle Adsenseと連携して広告を表示することが可能になった点。
 アプリの中に広告を埋め込むのはScribdが初めてだというようなことをインタビューで聞いたと思いますが、これによってビジネスモデルも構築できたわけで、なかなかこれは腰が強そうです。

 利用者ののびも順調のようで、サービス開始半年で17万点の文書が掲載されたというからすごいです。
 さらに、POLAR BEAR BLOGによると文書の無料スキャンサービスも開始していたりと、ネット以外の世界にも手を出し始めています。

 個人的に文書共有サイトにはあまり注目していなかったのですが、ちょっとしっかりリサーチする必要がありそうなサービスです。


scribd3.png.jpg【Scribdの主な機能】
・ドキュメント共有機能
 Officeファイルなどをアップロードして共有することができる
 共有したファイルをブログ等にはりつけることができる
 元ファイルをダウンロードさせることができる
 ドキュメントを評価したり、コメントをつけることができる
 関連文書を表示することができる

・アクセス解析機能
 文書の表示回数を表示することができる
 文書のアクセス元を表示することができる
 文書にアクセスした人の地域を表示することができる

・メッセージ機能
 メンバーにメッセージを送信することができる

・グループ機能
 グループ(コミュニティ)を作成することができる
 グループ単位で文書を共有したり掲示板で議論したりすることができる

 

【Scribdの概要】
運営:Scribd (San Francisco, CA)
開始:2007.3公開
収益源:広告


【Scribdの画面イメージ】
scribd.jpg


 

2008年4月11日

AMD HD Experience で、HD画質の映像編集が手軽になるかも

workstyle_voice.png 先日「AMD HD! Experience」の記者発表会にご招待頂きました。
 当日の様子をビデオ撮影させていただきましたので、かなり間が空いてしまいましたが公開しておきたいと思います。

 AMD HD! Experienceというのは、AMDが三洋電機等と提携して発表した新しいHDグラフィックソリューション。
 これまでPCで取り扱いが難しかったHD画質の映像を、手軽に利用できるようにしようというのが狙いのようです。

 最大の売りは、PCのCPUで行っていたビデオ・デコーディング処理をチップセットに実行させることで、CPUの使用率を低減し、PC全体の消費電力を大幅に削減した状態でHD映像を再生できるようにしたこと。
 さらに動画編集ソフトメーカと密接に連携することで、従来よりストレスが少なく容易な動画編集も可能になるとのことです。

 まぁ、言葉で説明しても分かりづらいと思いますので、下記のデモ映像をご覧下さい。

 新しいチップセットの環境では、グラフィックの処理をCPUで実施していないので、通常ならCPUの負荷が80%とかになるところが、なんと数%になってしまっています。
 これなら、これまで難しかったHD画像の処理がPCでも可能になりそうというイメージが湧いてきます。

 海外のビデオポッドキャスティングを見ていると、その多くがHD画像で処理されている印象があります。
 元々企業で運営しているものが多く、機材も充実しているのがその一因だとは思いますが、日本にもXactiシリーズのようにHD画像を撮影できるビデオカメラは急増していますから、ネット上にHD画像が増えないのはやはり編集環境の方に問題があると思います。

 それがこういったチップセットの普及により、比較的一般的なPC環境でも取り扱えるようになると、状況が変わる可能性があるのかもしれません。


 今回発表されたのはデスクトップ環境向けですが、今後ノートPC環境もターゲットにしているという点も注目。
 日本ではノートPCが会社でも自宅でも普及していると思いますので、ノートPC環境でHD画像の取り扱いがどれぐらい手軽になるのかというのが、日本におけるPCでのHD環境の広がりのきっかけになるかどうかに影響しそうです。

 当日の詳細のプレゼンについては、下記にまとめてみましたので、こちらも是非ご覧下さい。

 ちなみに、日程的に紹介の順番が逆になってしまいましたが、先日紹介したIntelはモバイルインターネット端末に注力していて、AMDがHD画像の処理に注目しているというのは、両者のアプローチの違いを表しているようで、なかなか興味深いところです。

 当然、メインの市場においては両者は激しい競争を繰り広げているわけですが、それぞれが自らの市場を拡げるために独自のアプローチを取っていくというのは、横に習えになりがちな日本企業にも見習うべきところかな・・・と思ったりします。

2008年4月 9日

Intel Atomを活用したモバイルインターネット端末は、PCと携帯電話の間に市場を作れるか

workstyle_voice.png 先週、インテルさんが開催したインテルブロガーミーティングに参加させて頂きました。
 遅ればせながら、当日撮影した動画を編集したので公開しておきます。
 
 今回テーマとなっていたのは、インテルが新たに発表した「Intel Centrino Atom プロセッサ・テクノロジ」
 Intel Atomプロセッサというこれまでのインテルのプロセッサの中でも最も消費電力の低いプロセッサを活用したモバイルインターネット端末向けのチップセット環境だそうです。

intel_atom.png.jpg

 個人的に興味深かったのは、MID(モバイルインターネット端末)という端末群の可能性。
 これまではUMPCと表現されることが多かったように思いますが、UMPCというと小さいPCという印象が強かったのが事実。
 今回展示されていた端末群を見る限り、モバイルインターネット端末というのは、必ずしもPCという定義に収まらず、PCと携帯電話の中間的な位置づけの端末になるようです。

 日本では携帯電話経由でのネット活用が一気に便利になったこともあり、PDAとかUMPCとかBlackBerryとか、PCと携帯電話の中間に存在するような端末というのは、かなり存在感が薄い印象があります。

 ただ、当日のグループディスカッションで出ていたように、携帯電話だけど不便だけど、PCを持ち運んで使うのも難しいという分野は、まだまだいろいろあるはずで。 
 今回発表された「Intel Centrino Atom プロセッサ・テクノロジ」を活用した端末群が、そういった市場を拓いていけるかどうかというのが、今後の注目点になりそうです。

intel_atom.jpg

 ちなみに、もう一つの注目点は携帯電話自体への対応だと思いますが、CNETの「アップルがインテルの新チップ「Atom」を採用する可能性は?」 という記事なんかを見ていると、現在の仕様ではiPhoneですら「Intel Centrino Atom プロセッサ・テクノロジ」を使うのは、まだちょっと難しそうな印象。
 そういう意味では、普通の携帯電話向けは、もう一巡か二巡後と言うことになるのかもしれませんね。

 ただ、このあたりの展開次第では現在のクローズドな携帯ネット環境に大きな影響を与えることにもなりそうですので、やはり中長期的には目が離せない分野になりそうです。

 ということで、当日の様子は下記のビデオをどうぞ。

 当日のイベントの詳細は、みたいもん!にレポート一覧がまとまっていますので、是非そちらもご覧ください。

2008年4月 2日

Kyte (携帯電話と完璧に連携している動画配信サービス)

kyte1.png Kyteは、スイス出身のCEO Daniel Grafによって設立された動画配信サービスです。
 Robert Scobleが動画配信に利用しているので以前から気になってはいたのですが、TechCrunchのjustin.tvの記事で、Ustream.tvjustin.tvよりも利用者が多いサービスとして紹介されていたのでレビューしてみました。


 Kyteは、UstreamStickamのようにリアルタイムの動画配信が可能なライブ配信サービスなのですが、動画だけでなく、写真やスライドショーなど様々なコンテンツを配信するためのプラットフォームとなっているのが特徴です。

 Produceボタンをクリックすると、下記のような画面が表示され、動画やスライドショーをドラッグして表示させることができたり、音楽を選択すると、最初からフリーで利用できる曲が大量に表示されたりと、なかなか凝った仕組みになっています。

kyte_produce.png


 TechCrunchの記事によると「Kyteをミュージシャン、マスコミ、携帯事業者向けプラットフォームにすべく照準を定めている」とのことで、下記のようなアーティストごとの独自のプレイヤーも作成したりすることができる模様。

 音楽レーベルともしっかり提携をしており、正統派のビジネスモデルと言えそうです。
 Seesmicのような突飛なアプローチも面白いですが、こういう地道なアプローチも順調に利用者を増やしていく上では重要という印象を受けるサービスです。

kyte2.png ちなみに、細かい機能も充実していて、たとえばEmbedをしようとするとYouTubeのようなタグが表示されるのですが、同時に右の画像のようにFacebookMySpaceなどのサービスごとのボタンも表示されて、直接そのサービスにタグを投稿することができるようになっており、Twitterで紹介するためのボタンなんかも当たり前のように実装されています。


 が、なんと言っても個人的に最大の特徴と感じているのはやはり携帯電話対応。

 Robert Scobleがリアルタイムに携帯でライブショーをやっていたので非常に印象に残っているのですが、携帯電話で映像を見ることも、ライブ配信することもできる模様。
 残念ながら日本の携帯電話では試すことができないので、その使い勝手のほどは分かりませんが、Robert Scobleのビデオポッドキャスティングなんかを見ている限りは評判は上々のようです。

 日本は携帯先進国だと思っていましたが、やはりこのあたりに状況の変化が明らかに出てきている気もします。

 回線速度は日本の方が速いと思うので、本来は日本からこういったサービスが出てきてほしいところではあるのですが、ブロードバンドがあっても動画共有サイトはやっぱりアメリカからでしたし、このあたりが実に残念なところです。
(ちなみにKyteには一応ドコモキャピタルが出資していたりもするようですが)
 


【Kyteの機能】
・ストリーミング配信機能
 ウェブカムで撮影した動画をリアルタイムに配信することができる。
 配信動画をアーカイブとして配信することができる
 ストリーミングを見ているメンバーとチャットをすることができる

・動画アーカイブ機能
 自分のチャネルに録画した動画を公開することができる

・ソーシャルネットワーク機能
 他のチャネルを購読することができる

・その他
 携帯電話で動画を閲覧することができる


【Kyteの概要】
運営:Kyte (San Francisco, California)
開始:2006年開始?
収益:広告?、有料オプション?

【Kyteの画面】
kyte.png

   

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