オープンを合い言葉にしたネットワーク囲い込み戦争は、まさに三国志
GoogleとFacebook、MySpaceの三つどもえのソーシャルネットワーク囲い込み競争が激しくなってきていますね。
口火を切ったのは、MySpaceの「Data Availability」の発表。
次は、それに負けじとFacebookが「Facebook Connect」を3日遅れで発表。
さらにはGoogleが間髪入れずに「Friend Connect」をかぶせてきます。
CNETの記事を並べて見るとこんな感じ。
・マイスペース、米ヤフーやTwitterなどとプロフィール共有可能な新プロジェクト発表
・Facebook、データポータビリティ技術「Facebook Connect」を発表
・グーグル、「Friend Connect」を発表--ウェブサイトにソーシャル機能を追加可能に
MySpaceの発表がYahoo、eBay、Photobucket、Twitterという具体的なパートナーとの連携を元にしたものだったのに対し、Facebookの発表はあくまで開発者向けブログを通じたリークに近い印象で、サービス自体は「Facebook Connectは、今後数週間以内に利用可能となる予定」と未完成のようですから、開発中だったとはいえ、MySpaceの発表で前倒しになったのは間違いなさそう。
Googleも、提携サイトにFacebook、Hi5、Orkut、LinkedIn、Plaxoあたりを並べてきたところを見ると、「FacebookやMySpaceが発表を行ってから、わずか3日でコードを作り上げるというようなことはしていない」という発言は正しいのでしょうが。
まぁ発表タイミングが今になったのは、あきらかにライバルを意識してのものでしょう。
ちなみに、個人的に興味深いのが、今回の駆け引きの三つどもえ具合。
GoogleとMySpaceは、OpenSocialでは提携関係にあるのですが、今回の「Data Availability」では、MySpaceはYahooをパートナーに選んでいたり。
GoogleのFriend ConnectのパートナーにはFacebookの名前が並んでいたのに、急にFacebookが不参加の意向を表明していたり。
この猫の目のような提携関係の変化は、三国志を彷彿とさせるほどですね。
どのサービスが何がどう違って、どうなっているのか、正直ついていけません。
一つだけ間違いなく言えるのは、この駆け引きが「オープン」という錦の御旗を打ち立てた、各社の陣取り合戦であるということでしょう。
インターネット上で圧倒的な強さを見せるGoogleが、持っていないとされる数少ない要素の一つが、利用者同士のつながりというソーシャルな要素。
この発表の直前にGoogleのエリック・シュミットCEOが「ソーシャルネットワークは依然閉鎖的」と発言した記事がCNETに載っているのが、いかにも象徴的ですが、Googleとしては閉鎖的なMySpaceやFacebookを真にオープンにして、自らの得意な土俵に利用者を解放したいと言うことでしょう。
それに対して、MySpaceやFacebookは、自らのスタンスでサービスを「オープン」にすることで、自社がもっている1億人とか7000万人の「ネットワーク」の強みを維持したまま勝負を続けていきたいはず。
オープンになることのメリットよりも、各社の思惑の方が前に見えてしまって、なんだかせっかくの新しい取り組みも素直に楽しめないですね。
まぁ、個人的には、高い壁に囲まれた城から出てこないなんて卑怯だ!的なロジックで相手を平原に誘い出そうとしているGoogleと、我が国はこのままでも平和で民も満足していると答えるFacebookとか想像すると、いかにも三国志という感じで楽しかったりするのですが。
とりあえず一利用者としては、最終的に便利になることを信じて、つばぜり合いの収束を待ちたいと思います。
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