本日、KINGSOFTさんの発表会に、ご招待いただいたので参加してきました。
同じタイミングでKINGSOFTさん開発のOfficeソフトの新バージョンの発表もあったのですが。
今回の発表の目玉はなんといっても、Kingsoft Internet Security free。
完全無料のセキュリティソフトの発表でしょう。

無料のセキュリティソフトというと、これまでもアンチウィルスにおいてはいろいろあったようですが、パーソナルファイヤーウォールやアンチスパムまで入ったフルバージョン、しかもパッケージ販売をしているメーカーでは聞いたことがありません。
なにしろセキュリティソフトというと、有料のパッケージソフトの最後の聖域と言われていて、各メーカーにとってはまさにドル箱です。
特に、Kingsoftは2005年に中国から日本に参入した際にも100万本の無償配布を行うなどしていましたが、2年間で現在の業界シェアは5%と第5位につけているそうで、第5位のメーカーが無料配布というのはなかなか強烈です。
日本のコンシューマ向けセキュリティソフトで600億円の市場だそうですから、ここについに無料配布をするメーカーが出てきたというのは、業界にとってはパンドラの箱が開いたと言っても良い出来事なのでは無いでしょうか。
さらに興味深いのが、今回の無料版が広告モデルで提供されるという点。
アライアンスパートナーと提携してパートナー専用のバージョンを提供したり、登録情報に基づいたコンテンツマッチ広告を配信したりする模様。

パートナー専用のバージョンといえば、Lunascapeのようなブラウザがやっているモデルでしたが、たしかに日々使っているセキュリティソフトとは相性が良さそうです。
【ソフトウェアの画面にバナー広告等】

【ポップアップ広告を表示】

これまで広告収入を原資にした有料サービスの無料化といえば、アクセス解析サービスのGoogle Analyticsの無料提供を始め、先日はFeed Burnerの有料プランの無料化等、Googleの十八番だったように思います。
私もその昔、「Googleが次に破壊する市場はどこか」という記事で、アンチウィルスソフトもあげていて、セキュリティソフトもそのうちGoogleが無料サービスを始めるだろうと思っていたのですが、今回KINGSOFTがGoogleに先駆けて自ら無料提供に踏み切ったというのは凄いことだと思います。
(そういう意味では、広告配信パートナーにGoogleのライバルとなるYahoo!グループのOvertureが入っているのも注目ですね。)
また、セキュリティソフトというと、当然ウェブサービスではなくクライアントソフトになるわけですが、クライアントソフトにも広告モデルが明確に入ってきたという意味でも興味深いところ。
これまでの有料のクライアントソフト vs 無料のウェブサービスという図式ではなく、今後はこういった無料の広告モデルのクライアントソフトというバリエーションも増えていきそうな気がします。
当面のターゲットとなるのは、オフィスソフトあたりでしょうか。
もちろん、セキュリティソフトのシェア争いについては、利用者が無料化をもとに一気にKINGSOFTに乗り換えるかどうかは分かりませんし、当然、他のメーカーも黙っていないでしょう。
ただ、業界の変化に追従するのではなく、自ら業界に変化をしかける姿勢は見習わないといけないのだろうなーと思います。
【KINGSOFTのウェブサイト】

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